奥平総一郎・日本自動車工業会環境委員長に聞く[後編]

6重苦を乗り越え、日本のものづくりを守りたい


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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温暖化問題に車の省エネ技術はどう貢献していくのか。

――温暖化問題について伺います。プリウスをはじめとして低炭素の省エネ技術が日本の強みになってきました。その製品を途上国へ輸出したり、あるいは先進国同士での技術開発、技術移転したりすることにより、地球全体の二酸化炭素(CO2)を減らすことに役立っていくと思われます。今後、この問題にどう取り組んでいくつもりですか。

奥平:日本製品は環境に優れたものが多く、環境技術をとことん追求してきています。日本は資源がなくエネルギーコストが高いため、開発の強いニーズがあった。このことが有利に作用したと思います。

 もともと日本には、「もったいない」という発想があり、使いたい放題を好まない文化があります。そういう意味で今回の節電も、皆が自主的に取り組むことができたと思います。また、それぞれの製品コンセプトのなかにも、「もったいない」という考えが入っていると思います。自動車にとどまらず、エアコンなどの電気製品の省エネ性能も良いですし、ものづくりのプロセスも省エネルギーになっています。

 日本には省エネ技術はたくさんあり、それを海外でもできるだけ使っていただきたい。海外の方々からそういう技術の提供を要望されれば、我々はできる限りの協力をしていくべきだと思っています。

「日本の省エネ技術を海外でもできるだけ使ってほしい」と奥平氏は話す