執筆者:菊川 人吾

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国際環境経済研究所主席研究員

  • 2014/03/20

    「グリーン?なダボス?」

     1970年代はじめから活動している世界経済フォーラム(WEF)の年次総会、いわゆるダボス会議が今年も例年同様1月後半に開催された。今年のダボス会議は日本にとって大きな意義となるものだったであろう。歴史あるダボス会議において初めて日本の首相がオープニングスピーチを行ったからである。今年は第一次世界大戦勃発の1914年から100年ということでそうした視点からの問題提起もあったに思う。注1) 続きを読む

  • 2014/03/06

    “議長”のお仕事(第1回:その0〜1)

    国際機関の議長というのは、何はともあれエライ、と思われる。

    筆者が務める本職注1)の関係で昨年2013年6月から世界貿易機関(WTO)に設置されている委員会(貿易の技術的障壁に関する委員会:TBT委員会注2)の議長のポストに就いているのだが、それが偽らざる率直な思いだ。WTOの建物で他国の大使に会っても”Oh, Jingo, Mr. Chairman”と声をかけられることも多い。 続きを読む

  • 2013/09/09

    再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具へ 
    ~その後~

    EUは負けたのか - EU・中国の和解

     7月28日以降、各紙はEUと中国で生じていた太陽光パネルダンピング等の問題において一部仲裁合意が成立したと報じていたが注1)、合意内容についてEU産業界が反発しており注2)、その一方で、中国の産業界はそれを歓迎している注3)ことを以てEUの敗北と論じているようである注4)続きを読む

  • 2013/08/30

    オバマ・イニシアティブ・ショック?

    環境物品交渉の幕開け?

     7月23日付で通商専門日刊紙(Washington Trade Daily)は”US Initiates Environmental Discussion”と報じた。昨年のAPEC首脳会合(於:ウラジオストク)で合意された環境物品自由化54品目をベースに、米国が主導して環境物品サービス自由化交渉をジュネーブ(すなわちWTO)で進めるべく当該テーマに関心の高い少数国(米国はじめ、日本、EU、カナダ、豪州、NZ、スイス、ノルウェー、韓国)を招集して議論を開始させたというものである。 続きを読む

  • 2013/04/18

    まだない未来?
    ~ジュネーブ・モーターショーから垣間見えたもの~

     来る4月21日から、国際見本市として格上げされている上海モーターショーが開催されるが、それに先立ち、3月7日から筆者の滞在するジュネーブにて開催された100年以上の歴史を誇るモーターショー注1)を振り返りつつ雑感を述べたい。

     3月8日付日経BPネット注2)では「高性能車よりエコカー?販売不振が続く欧州で自動車ショー開幕」との見出しでジュネーブ・モーターショーを紹介している。しかし、実際に自分自身も現場へ数回足を運び(自動車に関しては素人で一般人的な感覚で)率直に言えば違和感のある見出しと感じた。(全体の様子は写真1)。 続きを読む

  • 2013/02/25

    再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具へ
    ルール構築競争の本格化

     昨年末に拙稿「再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具か」を掲載いただいた。その後のフォローアップと関連した若干の論考を述べておきたい。

    1.国家プロジェクトに伴う軋轢
     
     2月7日、ウォールストリートジャーナル(WSJ)がインドの米国へ対する反論内容をニューデリー発で紹介していた注1)続きを読む

  • 2012/11/28

    再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具か

     さる11月5日、中国がEUとそのメンバー国を相手取りWTO(世界貿易機関)ルール上の紛争処理(いわゆる裁判)手続を開始したとWTOが発表し、翌日以降ワシントンポスト等が報道を行った(注1)。その発表内容等によれば、EUメンバー国内の固定価格買取制度に関する再生可能エネルギー発電セクター政策に対して中国が国際貿易ルール違反として訴えるらしい。もちろんこれには伏線があるようだ。 続きを読む

  • 2012/06/20

    Diamond Jubilee、宴の後

     6月5日に英国エリザベス女王即位60周年記念行事がクライマックスを迎え、私も欧州に滞在している一人としてBBCやCNNにかじりつきユニオンジャック未だ健在という興奮と女王陛下の荘厳な存在感を味わった。

     その興奮も覚めやらぬ6月7日、私は英国・スイス商工会議所が主催するビジネスワーキングランチに参加していた。その日のテーマは、“After Fukushima”。 続きを読む

  • 2012/06/05

    WTOは環境も救うか?

    デジタルIT製品の貿易自由化の動き

     久しぶりに思えるジュネーブ発での貿易関連報道があった。5月16日付け日経新聞(夕刊一面トップ)によれば「日米欧、中韓など74カ国・地域は15日、関税を撤廃するデジタル製品を大幅に増やすため、世界貿易機関(WTO)の情報技術協定(Information Technology Agreement:以下、ITA)の改定交渉を開始することで合意した」とのことである(注1)。 続きを読む

  • 2012/04/09

    氷の彫刻が投げかけるもの
    ~スイスがめざす“脱原発社会”の行方~

     レマン湖畔にある我が家の近くに、この冬、見事な氷の彫刻が登場した。写真は2月6日あたりの様子である。あまりに芸術的で観光客らしき人の往来が急増し、我が家の周辺は週末、交通渋滞で迷惑を受けた。

     欧州が厳冬になった今年、特に氷の彫刻が生まれた前後の2週間程度、朝方はマイナス二桁摂氏の日々が多く続いたが、3月に入ると逆に平均気温が11℃とプラス二桁摂氏が続いており、もはやスキー道具を片付けようかという陽気となった。 続きを読む