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“Care for Earth”の視点で何ができるかを追求する


Asahi Kasei Corp


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「世界の人びとのいのちとくらしに貢献する」
 旭化成が長く掲げてきた経営理念です。
 広すぎるようにも感じられる経営理念ですが、当社はこの考えをもって約1世紀、事業を展開してきました。しかし、今ほどこの理念が私たちの胸に迫ってくることはありません。
 新型コロナ禍で痛切に感じる、命の大切さ、当たり前の日常のかけがえの無さ。これらに対して当社に何ができるかを考えています。当社の3つの事業「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」による貢献のあり方を考えています。
 そして、「いのちとくらし」に改めて真摯に向き合うとき、同様に心を砕かなくてはいけないのが、地球温暖化対策だと再認識させられています。
 新型コロナで痛感したように、今日のふるまいは後日の現実に間違いなく反映されます。地球温暖化においても全く同じです。ただ、地球温暖化ではタイムギャップが新型コロナよりも長いため、危機感や対応策が後回しになりがちです。しかし、「いのちとくらし」を守るには、着実に手を打たなくてはなりません。対策が遅れたことを嘆いている暇はなく、今できることに力を合わせて取り組んでいかなければなりません。
 当社は、中期経営戦略の視点として、Care for People, Care for Earth を掲げています。
当社には、多様な事業、技術、経営資源があります。対象としている市場は様々ですが、これらをCare for…の軸で見つめ直し、発想していくことで、新たな解決策が出てくるはずと考えています。
 当社が取り組んでいる地球環境対策、Care for Earthの3事例をご紹介します。

1. 再生可能エネルギーからの「水素製造」システム

 CO2ゼロの社会で大きな役割を担うのが水素エネルギーです。太陽光や風力などの再生可能エネルギーから作る水素(グリーン水素)は、交通や発電、化学、製鉄など、様ざまな分野で化石燃料に置き換わり、脱炭素社会の実現に大きく貢献します。ただし、グリーン水素の普及は、コストを下げていくことが大きなポイントです。
 この課題に対し、 旭化成では、数十年に亘る「苛性ソーダ」製造技術の知見を元に、グリーン水素を低コストに大規模に製造するシステム(アルカリ水電解システム)の開発を進めてきました。その成果として、福島県浪江町における国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト向けに、世界最大規模(10MW, 2000Nm3/h)の大型アルカリ水電解システムを開発し、関係各社とともに実証運用を開始しました。
 グリーン水素の普及に向けては、まだ多くのチャレンジすべきことがあります。引き続き、2020年代半ばの大型アルカリ水電解システムの商業レベルでの実用化を目指すとともに、将来的には安価なグリーン水素が世界各地で利用できるカーボンゼロ社会の実現に貢献していきます。

2. 深紫外光を発するLED(UVC-LED)

 私たちが普段見ている光よりもはるかに波長の短い光(深紫外光)をウイルスや細菌に照射すると、ウイルスの不活化(感染性を失わせること)や殺菌が可能です。従来、その発光源には水銀ランプが広く用いられてきています。しかし、水銀ランプは人体に有害な水銀を製品に使っている上、消費電力も少なくありません。 水銀をできるだけ使わないよう、世界的に規制が強化されてきており、水銀ランプに替わる光源が求められています。
 このような中、旭化成では水銀とは無縁の「UVC-LED」の開発を進めています。 LEDは消費電力が少ない上、水銀ランプとは違って直ちに点滅させることができるため利便性も良好です。また、小型なので配置の自由度も高いほか、水銀を使用しませんから環境にも優しい製品です。
 旭化成は磁気センサーなど、化合物半導体による部品事業を展開してきました。この技術を応用し、加えて、ベンチャー企業の新たな技術と組み合わせることで、世界にこれまでなかったUVC-LEDを事業化しています。これは全く新しい技術ですから、今後の改良、革新には大きなポテンシャルがあります。旭化成は 2050年に向けてUVC-LEDの性能を大きく向上させ、世界の殺菌を革新していきたいと考えています。

3. 青果物の常温輸送を可能にする保冷ボックス

 現在、青果物を長距離輸送するときには、冷蔵トラックが主に使用されています。しかし、冷蔵トラックを用いた輸送は冷蔵にエネルギーが必要なので、常温トラックに比べて環境負荷が高く、また、常温トラックのような汎用性がないため、トラック利用の効率が劣りがちです。そこで、旭化成では、建材事業で展開している高性能断熱材と、電子部品事業の知見に基づく環境センシング機器、そしてサランラップなど家庭用消費財事業で蓄積した鮮度保持ノウハウを組み合わせて、青果物輸送用の密閉ボックスを開発することとしました。冷蔵トラックを用いなくても、青果物の鮮度を保持しながら輸送できる新しい輸送システムです。ただし、このシステムを完成させることは決して容易ではありません。システムを技術的に完成させるだけでなく、社会に普及・実装できてこそ意味があります。そのためには、密閉ボックスの利用率を高めること、密閉ボックスに積み込む青果物の段ボールサイズを最適化していくことなどを関係者と調整しながら進めていきます。
 これを実現できると、青果物輸送での環境負荷を大幅に低減できます。更に、冷蔵インフラの整っていない開発途上地域に展開すれば、世界中のフードロス削減、ひいては水資源の節約にもつながります。
旭化成は青果物輸送をも切り口に、SDGsの様々な課題の解決への貢献を見据えています。

 以上、旭化成の3つのチャレンジをご紹介しました。
 チャレンジゼロに向けたイノベーションというと、全く新しい高度な技術開発を想像しがちです。もちろんそれも必要ですが、それだけではなく、各社や各部署が自らの特徴を見つめ直し、チャレンジゼロに向けて何ができるか、突き詰めることで見えてくるものがあります。私たちはそれぞれが自分のできることを見つけ、国内外の他社、アカデミアなどと力を合わせることにより、脱炭素社会実現への道が開けてくると考えています。



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