Technology Roadmap [Low-Carbon Transition in the cement industry]について


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 2018年4月、国際エネルギー機関(IEA)はセメント産業の技術ロードマップを改定・公表した。これは、2015年12月に締結されたパリ協定の2℃目標を受けて、2009年に公表していたロードマップを修正したものである。

https://webstore.iea.org/technology-roadmap-low-carbon-transition-in-the-cement-industry

 現在、セメント産業からのCO2排出は全世界の約7%を占めており、世界で3番目にエネルギーを消費している産業である。
 今後も世界の人口は増えていくと予想される中で、途上国における都市化やインフラ整備を考慮すると、世界的なセメントの需要も増えていくことが予想されている。
 IEAでは、一人あたりのセメント消費量を485kg/Capita程度と設定し、2050年のセメント生産量は、現在(約42億トン:2014年)より12~23%増加すると予想している。但し、その生産量の割合は、現在、最も多く生産している中国が漸減し、代わりにインドやアフリカの国々の生産量が増加すると予想している(図1参照)。


図1 地域毎のセメント生産量の予想
(Technology Roadmapより抜粋)

 今後、このような生産量の増加が予想される中で、2℃目標を考慮した場合、2050年までに24%のCO2排出量の削減が必要だと説明している。
 削減するための手段としては以下の4つがあげられている。

熱エネルギー効率の改善
新規や既存のセメント工場への省エネ設備の導入
エネルギー代替廃棄物の利用
バイオマスや廃棄物の利用の促進
クリンカ・セメント比の低減
混合セメントの普及・拡大
CCS/Uを用いた削減(革新技術の適用)
新たな発電技術(廃熱発電や再生可能エネルギーを用いた発電)の適用や、セメント工場へのCCS設備の適用

 上記①~③においては、これまでのデータを基に、2050年に向けた目標となる数値が詳細に記載されている(表1参照)。
 加えて今回の改定では、コストやCO2削減が期待できる新しい結合材が紹介されているが、強度や耐久性等の技術的な課題があることが指摘されている。


表1 2050年に向けた各目標値
(Technology Roadmapより抜粋)

 一方、古い設備(ロングキルンや湿式製造方法)については淘汰を促すような政策誘導や、廃棄物の利用に関しての規制緩和、並びに革新技術の共同開発やその普及・促進など、政策的に力を入れるべき点についても言及している。

 この技術ロードマップはグローバルに作成されたものであり、2009年版公表後にIFCなどの資金支援を受けてインドやブラジルなどで個別のロードマップが作成されたことから判断すると、今回も国別のロードマップに展開されるものと思われる。国別技術ロードマップは、その地域のセメント会社の意見を反映されて作成されることから、より具体的な削減技術に基づいた実行計画となる。このように国ごとにPDCAを行うことにより、各国がセメント産業からのCO2削減を具体的に実行できると期待される。


図2 2050に向けた対策毎のCO2削減量
(Technology Roadmap Foldoutより抜粋)