第9回(最終回) 石油業界の「安定供給と温暖化対策の両立」〈後編〉

石油連盟 常務理事 押尾 信明氏


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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第9回(最終回) 石油業界の「安定供給と温暖化対策の両立」〈前編〉

強靱化対策と緊急時対策

――東日本大震災の時、石油は最後の砦としての価値が見直されました。

押尾 信明氏(以下、敬称略):石油の国内需要は減少しつつも、2030年においても一次エネルギーの30%と最大シェアを占める見込みです。したがって、平時はもとより、大規模災害時においても石油の安定供給を確保することは、引き続き国の安全保障に係わる大きな問題であることに変わりありません。

押尾 信明氏。

押尾 信明(おしお・のぶあき)氏

1980年4月  石油連盟入局
1999年7月~ 総務部総務課長
2009年7月~ 企画部統括グループ長
2010年1月~ 企画部長
2014年7月~ 事務局長兼企画部長
2016年5月~ 常務理事

 石油業界は、東日本大震災の教訓から、巨大地震の際にも、石油の供給ができるようハード・ソフト両面での強靱化対策を進めています。製油所の耐震・液状化対策、非常用発電・衛星電話・ドラム缶充塡設備などの緊急時対策の設備の充実、石油備蓄法に定められた緊急時連携計画の策定、自衛隊などとの定期的な訓練の実施、BCP(事業継続計画)の整備などを進めています。

 先の熊本の地震では、こうしたシステムや訓練の成果もあって、大きな混乱もなく、石油の安定供給は確保できたものと考えています。今後も、南海トラフや首都直下型地震等が想定されていることから、さらに強靱化対策を進めていく方針です。(図1)

図1(図1)製油所・コンビナートの強靱化 出典:石油連盟[拡大画像表示]

さらなる税負担には断固反対

――化石燃料への課税については?

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押尾: 石油には多重・多段階にわたり税金が課せられており、消費税も含めると約5兆6000億円の税金が課せられています(2016年度時点)。最近では、2012年度から地球温暖化対策税が石油石炭税に上乗せされる形で導入されています。今後も消費税が10%に引き上げられると、ガソリン税など税金に対する消費税、いわゆるタックス・オン・タックスは3000億円以上にもなります。石油連盟としては、石油諸税の更なる増税や新税創設は、国民や消費者の理解を得られないだけでなく、燃料コストの増大を通じて経済活性化に悪影響を及ぼすことから、断固反対しています。

 国際競争力の強化が喫緊の課題である石油業界にとっては、諸外国との公平な競争条件の確保が極めて重要です。この点において、他の主要国には、わが国の石油石炭税のように原油の輸入段階に課税する税制がないため、3年前に創設された、製油所の非製品ガス注1)に係る石油石炭税の還付制度については、是非継続を政府にお願いしているところです。

注1)非製品ガス:製油所では、製品にならない非製品ガスが一定程度発生。この分にも石油石炭税が課税。(図2)

図2(図2)石油への諸税 出典:石油連盟[拡大画像表示]


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