2030年の電力化率はどうあるべきか


(一財)電力中央研究所/IPCC統括執筆責任者


要約

2030年の電源構成(エネルギーミックス)について現時点で予断はできない。だが、どのようなミックスになるにせよ、ヒートポンプ・EVを初めとした電気利用技術は温暖化対策の一つとして有力である。さらに、2030年以降といった、より長い時間軸で考えると、電力の低炭素化は後戻りしないであろうから、電力化率(=最終エネルギーに占める電力の割合)の上昇はますます重要な手段となる。震災以来、緊急的な節電が実施されてきたが、電力需給の不安定は2030年には解消しているはずであり、また電力供給インフラはより強靱になっているはずである。短期的な情況と長期的な戦略は区別しなければならない。経済・技術の発展により、電化率は趨勢として上昇してきたし、今後もこの趨勢は続く。更に温暖化対策の観点を加えるならば、電力化率はますます上昇すると想定することが適切である。

1.はじめに:電気利用技術のCO2削減効果

 日本の今後の電源構成(エネルギーミックス)をどうするかということについては、いま政府審議会で議論が進んでいるところであり、その結論の予断はできない。
 過去においては、原子力・再エネの合計の比率は2000年に45%に達したのが最高であり、震災前の2010年には39%であった(図2)。このぐらいの比率の下で、ヒートポンプやEV(電気自動車)を初めとした電気利用技術は、CO2を削減する技術の一つとして重要であった。今後定められていく新しい電源ミックスがどのようなものになるにしても、電気利用技術のこのような位置づけが大きく変わることはないであろう。
 電気の利用が温暖化対策として優れる理由は2つある。第1は、供給側において、原子力・再エネ・高効率火力発電等の低炭素技術があることである。過去、CO2の少ない電源を増やし、また高効率化を進めることで、発電部門のCO2原単位は大幅に改善してきた(図1)。第2は、需要側において、ヒートポンプやモーターなどの効率の高い技術があることである注1)

注1)
電気利用技術の温暖化対策における位置づけについて専門的な観点から解説したものとしては電力中央研究所編著「電気のチカラ」

ページトップへ