COP21に向けての重要な提案:化石燃料消費の節減こそが求められなければならない(その1)

米中首脳が温室効果ガスの削減目標で合意したと言われているが


東京工業大学名誉教授

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米中合意の結果を、世界のCO2排出量の枠組み決定に生かすことができるか?

 目標年を20年、25年(一部30年)とした米中を含むCO2排出量の大きい各国のCO2削減計画の公表値を朝日新聞(2014/11/13)から再録させて貰い、表1-2に示した。この表1-2を基にして計算した目標年の各国のCO2排出量の値を、IEAにより与えられたCO2排出量の年次変化(1971 ~ 2011年)のデータ(文献1-1 )とともに図1-2 に示した。

表 1-2

図 1-2

 図1-2 から、各国のCO2排出量の値が、先進国としての米国とEU27では2000年以降の年次変化および目標年の値でも、顕著な減少を示しているのに対し、日本での削減量目標の値はごく僅かである。これが、いま、日本が地球温暖化対策に後ろ向きだと言われている理由であろう。一方、新興国では、排出量削減とは言っているが、今後も経済成長を継続する必要があるので、当面のCO2排出量の増加は止むを得ないとしている。特に、中国では、過去の加速度的な年次増加の継続の影響で、20 年の目標は、自国の05年比で 1.8倍、米国の2 倍にも達すると予測されている。30年頃をピークとして、以後、減少に転ずるとしている(表1-2参照)が、その根拠となるデータは示されていない。
 さらに注意したいことは、この図1-2 の表示では、表1-2 に示したCO2排出大国の米中以外の各国の削減目標が、地球温暖化対策を目的としたCO2排出量の削減にどれほど貢献するか、したがって、2015年末に開催が予定されているCOP21(国連気候変動枠組み条約の締約国会議)での各国のCO2排出量の枠組み決定に、果たして役立つ定量的な知見が得られるかどうかの判断ができないことである。では、どうしたらよいのか、この問題については、本稿(その2 )で考察する。
 

<引用文献>

1-1.
日本エネルギー経済研究所編:「EDMC/エネルギー・経済統計要覧2013年版」、省エネルギーセンター、2014 年

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