第6回 NEC インドで拓く 新しいBOPビジネスの形


国際環境経済研究所理事・主席研究員

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 世界の人口の約7割、40億人は年間所得3,000ドル(約30万円)以下で生活しています。この低所得者層を「Base of the Pyramid」、BOPと略称します。従来のBOPビジネスは、例えば、商品一つ当たりのポーションを小さくして購入しやすい価格設定とし、低所得者層にも購入可能な商品を提供するビジネスモデルでした。
 しかし、NECがインドで展開するBOPビジネスは全く逆転の発想。BOPを消費者としてではなく、彼らが生産者となって安定的な収入を確保するサポートをする仕組みです。デジタル社会の恩恵を世界のすべての人たちが享受できる社会の実現を目指し、インドでイチゴ栽培事業に乗り出したそうです。
 NECとイチゴ。全くつながりの無さそうな2つが、どうやって結びついたのか。NECのCSR・環境推進本部でお話を伺ってきました。

お話を伺ったNECのCSR・環境推進本部の右から
堀ノ内本部長・除村さん・小林シニアエキスパート

インドの貧困層の課題解決に貢献したい

 新興国として発展著しいインドは、莫大な富を手にした富裕層も存在する一方、国民の95%が年間所得3,000ドル未満であると言われています。仕事を求めて農村から都市部への人口流出も止まらず、女性の就業機会も限られています。就労の場を確保して根本的な解決を図らねば、貧困層はいつまでも貧困から抜け出すことができません。NECのデジタル技術を活かして、就労機会の拡大を図ることができないか。NECのCSR・環境推進本部に所属する、村上シニアエキスパートは強い問題意識を感じていたそうです。