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やっぱり心配! PM2.5はカラダにどんな影響があるの?

―国内での取り組み事例―


Research Committee on PM2.5 and Its Current Status


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 最後に我が国の国内でのPMの健康影響に関する取り組みについて、ご紹介させていただこうと思います。
 日本のPM2.5の基準設定にあたっては、日本にはPM2.5に関する疫学研究がほとんどなく、日本のデータに基づいて基準を設定することが難しかったため、主としてUS EPAの評価を参照した結果、US EPA と同じ値の基準となっています。その前提として、日本のPM2.5 と米国のそれとの間に物理化学的性状に質的、量的差はないと推察されること、日本で行われた数少ない疫学研究結果でもPM2.5の健康への悪影響が観察されること、が重視されていますが、循環器系疾患への影響に関しては、米国の知見と比べて必ずしも関連は明確ではありませんでした(図1)。
 そのため、中央環境審議会(中環審)大気環境部会「微小粒子状物質環境基準専門委員会報告書(2009年9月)」では、欧米と日本の疫学知見の相違を踏まえ、日本のPM2.5環境基準の設定の考え方について、図2のようにまとめ、今後の課題として以下の6点を挙げています。

日本の一般環境大気の影響メカニズムに関する毒性学的研究(高感受性群における大気濃縮粒子の健康影響調査、化学組成の相違に関する実験研究など)
国外の疫学知見と同程度の濃度範囲を含む日本国内の疫学調査
循環器疾患患者や循環器疾患に対するリスクの高い者も対象とした疫学研究
微小粒子状物質の成分濃度の異なる地域を対象とした成分組成の相違に着目した疫学研究
微小粒子状物質への曝露人口分布の情報蓄積と影響度評価としてのリスク削減予測
PM2.5以外の粗大粒子や超微小粒子の健康影響に関する研究

 このように、日本のPM2.5の環境基準は設定されたものの、まだその健康影響については不明な点は多く、さらなる研究が求められています。

 2009年9月の中央環境審議会の答申(中環審517号)では、微小粒子状物質の低減について以下のように述べられています。
 「微小粒子状物質の削減対策については、固定発生源や移動発生源に対してこれまで実施してきたSPMの削減対策を着実に進めることがまず重要です。
 微小粒子状物質は発生源から直接排出される一次粒子のみならず、大気中の光化学反応、中和反応等によって生じる二次粒子で構成される。また、我が国では、都市域のみならず人為発生源由来粒子の影響が少ないと考えられる地域においても硫酸塩や土壌粒子等の粒子が相当程度含まれており、海外からの移流分も影響していると推察されるなど、微小粒子状物質の発生源は多岐にわたり、大気中の挙動も複雑である。このため、微小粒子状物質や原因物質の排出状況の把握、排出インベントリーの作成、大気中の挙動や二次生成機構の解明等、科学的な知見の集積について、地方公共団体、研究機関と連携を取りながら、関係事業者の協力を得つつ、実施する必要がある。」
 今後も我々はPMが大気や健康に及ぼす影響についての研究を継続し、大気実態の解明と、大気環境の改善に最大限の努力を行っていく必要があると考えられます。

図2 日本のPM2.5環境基準設定の考え方
(出典:中央環境審議会大気環境部会「微小粒子状物
質環境基準専門委員会報告書」(2009年9月))

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