PM2.5は、何でできてるの?


Research Committee on PM2.5 and Its Current Status

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 前回はPM2.5がどうやって発生するかを一次粒子、二次粒子という分類と共にお話させていただきました。今回はその中でも、PMの成分割合、ならびにPMの構成要素として大きな割合を占めると考えられる二次粒子について、その成分、生成メカニズムについてお話しさせていただきたいと思います。図1は、PM2.5粒子中の化学組成とその成り立ちを示す概念図です。PM2.5は元素状炭素(EC)を始め、Na、Ca、K等成分の一次粒子および二次粒子から構成されています。
 大気中に排出されたガス状のNOX、二酸化硫黄(SO2)、揮発性有機化合物(VOC)は、酸化反応を経て二次粒子を生成します。大気中の二次粒子はそれぞれナイトレート 、サルフェートなどの無機二次粒子と、半揮発性有機化合物の有機二次粒子に大別できます。

[有機二次粒子の生成]
 大気中の比較的炭素数の多いVOCの一部が化学反応によって、蒸気圧の低い物質を生成し、既存の粒子に吸着、吸収されることによって粒子になります。

[サルフェートの生成]
 サルフェートの生成メカニズムを図2に示します。発生源より排出されたSO2はガスのままOHラジカルにより酸化される気相反応のほか、SO2が水に溶けて酸化される液相反応により硫酸が生成されます。さらに、粒子表面にSO2が吸着された後、酸化する不均一反応によっても硫酸が生成されます。硫酸は大気中では周囲の水蒸気を吸収し、液滴として安定して存在します。硫酸はさらに大気中のアンモニア(NH3)ガスなどと反応して固体粒子化しサルフェートを生成します。

[ナイトレートの生成]
 燃焼過程で生成された一酸化窒素(NO)は、徐々に酸化され、図3に示すようにHNO3になります。しかし、日中は光による解離により元に戻る反応があるため、これらの窒素化合物の濃度はほぼ一定になります。夜間には、図の右へ進む反応のみとなり、NO3やN2O5が大気中に蓄積され、水と反応し、HNO3を生成する「夜間反応」が起こります。
 HNO3は飽和蒸気圧が高いため、単独では粒子化することなくガスで存在しますが、NH3などと反応しナイトレートとなります。この反応は低温ほどよく進むため、ナイトレートは冬季に高濃度に、夏季には低濃度となります。
 このように大気中では様々な反応が起こり、その結果として二次粒子が生成されていることがわかります。

図1 PM2.5に含まれる化学成分とその生成メカニズム(概念図)

図2 大気中の硫酸系エアロゾル(粒子)生成過程
(出典:日本エアロゾル学会 エアロゾル用語集)
*水中とは雨滴などの浮遊液滴を指す

図3 大気中の窒素酸化物の反応プロセス
(出典:日本エアロゾル学会 エアロゾル用語集に追記)

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