低炭素社会実行計画(石油連盟)


Petroleum Association of Japan


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1.石油業界の現状

 石油業界はエネルギー転換部門として、国民生活や産業活動の基礎物資であるガソリン・灯油などの石油製品を、気候や景気等により変動する需要に応じて、安定供給に努めています。しかしながら、現在、石油各社は、国内石油需要の急激な減少(ピーク時1999年度から10年で約2割減少)による製油所の設備稼働率の低迷や国際競争に晒され、厳しい経営環境に直面しています。
 石油業界は、こうした困難な課題に直面しつつも、地球環境の保全や循環型社会の形成、わが国経済社会の持続的発展に積極的に貢献することを基本理念として、石油の高度利用かつ有効利用、持続可能な再生可能エネルギーの導入に取り組むことで、低炭素社会の形成に貢献して行きます。

2.2020年に向けた具体的な取り組み

(1)石油製品の製造工程における取組・目標

 わが国の製油所は、これまでの省エネ努力により、世界最高水準のエネルギー効率を達成しています。今後も、既存先端技術の導入などにより、世界最高水準にあるエネルギー効率の維持・向上を目指していきます。
 具体的には、2010年度以降に実施する省エネ対策により、2020年度において原油換算53万KL(約140万tCO2に相当)の省エネ対策の達成を目指します。※1※2
 主な省エネ対策としては、次のようなものを想定しています。

熱の有効利用に関する対策
 高効率な熱交換器の導入や装置間での熱の相互融通を拡大するなどの対策により原油換算15万KL程度の削減を見込んでいます。
高度制御・高効率機器の導入による対策
 コンピューターによる高度制御推進やコージェネレーションシステムの導入などの対策により原油換算6万KL程度の削減を見込んでいます。
動力系の効率改善による対策
 製油所内の高効率発電設備等からの電気を利用し、ガス圧縮機等の動力源を蒸気タービンから高効率モーターに転換するなどの対策により原油換算9万KL程度の削減を見込んでいます。
プロセスの大規模な改良・高度化による対策
 ホットチャージ化※3や水素利用の高度化※4などの対策により原油換算23万KL程度の削減を見込んでいます。

 この他にも、長年に亘る省エネ努力により、製油所単独での取り組みには限界があることから、近隣の製油所間や、製油所と石油化学工場などの間で、事業所の枠を超えた連携にも着手しています。

※1
これらの対策には、政府の支援措置が必要な対策を含む。
※2
想定を上回る需要変動や品質規制強化など業界の現況が大きく変化した場合、目標の再検討を視野に入れる。また、2015年度には目標水準の中間評価を行う。
※3
装置間の中間タンクを経由せず、原料油を高温のまま次工程に投入することで、排熱損失を低減し、加熱炉のエネルギー使用量を削減する。
※4
低濃度の水素を含むガスから膜分離技術等を利用して高純度水素を回収することで、水素製造装置の稼働を減少させ、エネルギー使用量を削減する。

(2)石油製品の輸送・供給段階の取り組み

 石油製品の輸送・供給段階での取り組みとして、石油会社間での油槽所(2次基地)の共同利用、製品の相互融通、タンクローリーや内航船の大型化等など、物流の更なる効率化を進めています。
 また、給油所(SS)においては、照明のLED化など、省電力機器の採用による電力消費量の削減に取り組んでいきます。さらに、太陽光発電システムを導入し、温暖化対策と災害時の製品安定供給の両立を目指す取り組みも検討しています。

(3)石油製品の消費段階への貢献

 石油業界は、石油製品の消費段階での貢献として、バイオ燃料の導入、クリーンディーゼル乗用車普及への働きかけ、潜熱回収型石油給湯器「エコフィール」の普及拡大、石油利用燃料電池の開発普及、燃費性能に優れた潤滑油の普及(ガソリン自動車用)などに取り組んでいます。
 特に、バイオ燃料については、石油業界は、エネルギー供給構造高度化法の目標値である2017年度原油換算50万KL(約130万tCO2)の着実な導入に向け、政府と協力しつつ、持続可能性や供給安定性を確保しながらバイオETBE方式※5によるバイオ燃料の利用を進めているところです。
 また、最新のディーゼル乗用車(クリーンディーゼル乗用車)は、排ガスのクリーン化等も進んだ結果、ガソリン車に比べ燃費性能(燃焼効率)に優れていること等なら、欧州では消費者の高い支持を得ています。わが国でも、2005年よりサルファーフリー(10ppm以下)軽油を供給しており、クリーンディーゼル乗用車普及のための環境は整っていますので、普及によって運輸部門におけるCO2削減が可能となります。

※5
植物由来のバイオエタノールと石油系ガスのイソブテンから合成されたもの

3.革新的技術開発

 中長期的に重油需要の減少が見込まれる中、重質油を原料にして効率的に輸送用燃料や石油化学製品などを生産する技術開発は、エネルギーの安定供給と石油資源の有効利用ひいては温暖化対策を両立する重要な取組です。そのために、これまで困難であった重質油の詳細組成構造解析と、反応シミュレーションモデル等を組み合わせた「ペトロリオミクス技術」を開発することにより、将来の石油精製事業に革新をもたらす基盤技術の確立を目指します。
 また、長期的には、製油所にも適用可能な経済性のあるCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の実用化に向けての技術開発にも取り組んでいきます。

4.国際貢献

 わが国石油産業に蓄積された環境負荷低減や石油資源の効率的利用に関する知識・経験・技術が、今後石油消費量が拡大する途上国等で活用されるよう、人的支援や技術交流等に引き続き取り組んでいきます。

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