2013年6月のアーカイブ

  • 2013/06/28

    電気料金値上げによる関西地域の製造業への産業影響

     RITE(公益財団法人地球環境産業技術研究機構)は、2013年6月11日に「関西地域における電気料金値上げによる製造業への影響分析」に関する調査レポートを公表した。
     電気料金の値上げは、家庭における電気代上昇の影響が注目されがちであるが、実際には、産業への影響は大変大きく、それに伴って雇用喪失につながる懸念が大きいと考えられる。これらの影響は複雑であるため、直観的に理解しづらい一面があり、データに基づく定量的な分析が重要である。 続きを読む

  • 2013/06/27

    原子力を含む国内エネルギー供給のベストミックスは幻想に過ぎない
    石炭火力を当面利用すれば、経済的な負担のない原発代替は可能だ

    電源構成の最適比率(ベストミックス)には科学技術的な根拠が存在しない

     いま、原発の存廃の議論のなかで、電源構成のベストミックスが盛んに言われている。それは、日本経済を支えている電力について、その将来の供給の安定化と生産コストの最小化などを図るために、在来の水力発電や火力発電用の化石燃料に加え、国産資源として位置付けられた原子力や再生可能エネルギー(再エネ、ただし現用の水力を除く)を最適な構成比率で求めて、それを国のエネルギー政策のなかで追求すべきだとの主張である。一見、もっともな主張のように聞こえる。 続きを読む

  • 2013/06/26

    低炭素社会実行計画(一般社団法人 日本鉄鋼連盟)

    3つのエコと革新的技術開発が、地球温暖化対策の不動の柱

     鉄鋼業の地球温暖化対策の柱は、「3つのエコ」と「革新的技術開発」から成り立っている。第一が、自らの生産工程でのCO2削減をめざす「エコプロセス」。第二が、省エネ技術の海外への移転・普及により、地球規模でのCO2削減をめざす「エコソリューション」。 続きを読む

  • 2013/06/25

    私的京都議定書始末記(その8)
    -エネルギー面からの取り組み-

     2002年6月に国際エネルギー機関(IEA)に出向し、温暖化交渉とは縁が切れたが、温暖化問題との付き合いは続いた。私がIEAで担当した国別エネルギー政策審査の中では、各国が京都議定書の目標達成に向けてどのような施策を講じているかが大きな比重を占めていた。 続きを読む

  • 2013/06/21

    電力市場が電力不足を招く、missing money問題(固定費回収不足問題)にどう取り組むか

     自由化された電力システムにおいては、電源の確保は、総括原価主義のような規制ではなく、市場における競争を通じて行われることが基本である。他方、日本に先んじて小売り全面自由化、発送電分離等の改革を進めてきた欧州諸国においては、昨今「単に市場に委ねるだけでは、適切な電源投資が促されない」つまり「電力市場が電力不足を招く」問題(missing money問題)が顕在化してきている。 続きを読む

  • 2013/06/20

    私的京都議定書始末記(その7)
    -COP7とマラケシュアコード-

     COP6再開会合から3ヵ月後の10月29日~11月9日、モロッコのマラケシュでCOP7が開催された。ボンで京都議定書の細目に関する政治合意が成立し、残された作業は、政治合意をCOP決定の形にすることであった。COP7の会場となったマラケシュの国際会議場はイスラム建築の香りの漂うエキゾチックな建物だった。 続きを読む

  • 2013/06/17

    第5回 大阪ガス NEXT21

     社員が実際に居住し、実証実験を行う施設として今話題の、大阪ガス株式会社のNEXT21。毎日100名を超す見学者が訪れるという人気の施設にお邪魔して来ました。
     大阪市天王寺区の普通の住宅街に突如現れる、緑豊かで不思議な作りの建物。マンションというより、スタジオジブリのアニメーションに出てきそうなお城とでも言ったほうが良い雰囲気です。 続きを読む

  • 2013/06/13

    電力カラーリングへの期待と誤解

    1.電力カラーリングが実現するサービス

     映画好きのAさんは最近、自宅に大画面テレビとホームシアターの設備を備えつけた。「大型テレビは電気の消費が増えるからエコじゃないね」と友人に揶揄されたAさん、「我が家の大画面テレビの電気は、北海道の稚内にある風力発電所から届いたものなんだよ」と得意気だ。 続きを読む

  • 2013/06/12

    私的京都議定書始末記(その6)
    -COP6再開会合-

     2001年7月16-27日にボンで開催されたCOP6再開会合は色々な面で日本にとって分かれ道となる会議であった。日本はCOP6再開会合までの間、京都議定書不支持を表明した米国とあくまで京都議定書の早期発効を主張するEUの間の架け橋になろうとしていたが、米国から具体的な代案もなく、この日を迎えることとなった。 続きを読む

  • 2013/06/11

    10年後に迫る停電の恐怖

     英国では電力自由化の結果、発電設備に対する収益保証がなくなった。ために、巨額の投資が必要でありかつ長期に亘り電気料金で収益を確保する原子力発電所、あるいは燃料価格が不透明であり、歴史的には石炭に対して価格競争力を持っていなかったために稼働率が不透明な天然ガス火力を新設する企業は今後出てこなくなる可能性が強い。既存設備の老朽が進む2020年代には停電が発生する可能性が強いと英国政府は予想している。 続きを読む

  • 2013/06/10

    私的京都議定書始末記(その5)
    -米国の京都議定書離脱と日本の苦悩-

     2001年1月、私は資源エネルギー庁の応接セットで、谷みどり地球環境対策室長の後任に着任したばかりの関総一郎室長と向かい合っていた。関室長は私が資源エネルギー庁国際資源課補佐の頃、企画調査課補佐として机を並べ、気の置けない関係であった。二人の話題は米国のブッシュ新政権の動きである。「米国はそのうち、京都議定書離脱と言いだすのではないか。 続きを読む

  • 2013/06/07

    地球温暖化が止まっている?
    エコノミスト誌記事が引き起こす波紋

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」6月号からの転載。)

    「微妙な問題」

     本年3月30日付の英「エコノミスト」誌が上記タイトルの記事を掲載して静かな波紋を引き起こしている。いわく「温室効果ガスの排出が増え続けているにもかかわらず、過去15年以上地表の大気温度は横ばいを続けている」。 続きを読む

  • 2013/06/05

    私的京都議定書始末記(その4)
    -COP6の決裂-

     ボンで初陣を果たしてから5ヶ月後の2000年11月11日、私はハーグのベルエア―ホテルの前に立っていた。これから2週間の長丁場となるCOP6の会場である。前半1週間が補助機関会合における事務方交渉、後半が閣僚レベルの交渉である。その1ヶ月前、リヨンで臨時の補助機関会合が開かれたが、ハーグに場所を移しても、私の担当するメカニズムを含め、各イシューをめぐる対立の溝は埋まる気配を見せなかった。 続きを読む

  • 2013/06/04

    私的京都議定書始末記(その3)
    -交渉デビュー-

     週末に代表団内、アンブレラグループ内デビューを果たし、週明けに初めて交渉会合に参加した。「何とも独特な雰囲気の会合だな」というのが第一印象であった。

     第一に参加者の多様性である。私がこれまで参加したIEA、OECD、APEC等の会合は政府担当官間の会合であり、男性の場合、ネクタイにスーツというのが通常であった。 続きを読む

  • 2013/06/03

    容量市場設立に関わる技術的課題(続)

     前回のコラムでは「容量市場設立に関わる技術的課題」として、米国の状況(特にPJM)などを念頭に、今回の電力システム改革に関わる制度設計上の留意点を概説した。今回はわが国の実情を踏まえてさらに一歩踏み込んで課題を整理したい。

    1.需要想定の主体は誰か

     将来必要となる発電設備量を考える上での基礎となるのは需要想定である。 続きを読む