討論型世論調査ではなく誘導型世論調査ではないのか


国際環境経済研究所所長、常葉大学経営学部教授


 「エネルギー・環境の選択肢」に関する討論型世論調査の結果が8月22日に発表された。朝日新聞夕刊では『「原発0%」討論後に増』と報道されている。この結果を見て「そうか」と納得した人も多いかも知れないが、私は「え?なぜ」と思ってしまった。
 私も消費者団体が開催した同様の会議に(http://www.nacs.or.jp/documents/enerugitouronkaihoukoku.pdf)出席し、選択肢の影響について説明した。参加者は勉強会を重ねた、かなり意識の高い人たちだったが、パネリスト3人からの選択肢についての説明後も、参加者27名中意見を変えた人は一人もいなかったからだ。討論型世論調査に参加する人たちの意見が、大きく変わるのは不思議に思えた。
 参加者が専門家あるいはパネリストから聞いた説明が、参加者の意見に影響を与えた可能性があるのではと思い、助言と資料作成を行う専門家委員会のメンバーと当日のパネリストを調べてみて、唖然とし納得が得られた。原発0%を非常に強く支持するメンバーが多いと言っても間違いではないだろう。選択肢は3つあるが、メンバーは一つの意見に偏っている。
 これは討論型ではなく、誘導型の世論調査ではないのか。討論型と呼び名は良いが、過程をよく検証する必要がある。討論を行い、よく議論すれば原発0%の支持者が増えるわけではなく、どんな情報提供を行うかが参加者の意見形成に大きな影響を与えているのではないか。討論型世論調査に関する第三者検証委員会の報告書では、いくつかの問題点が指摘されている。

パネリストと専門家委員会のメンバーは以下の通りだ。

●8月4日(土)のパネリスト
荻本和彦:東京大学生産技術研究所 特任教授
高橋洋 :富士通総研経済研究所 主任研究員
山口彰 :大阪大学大学院工学研究科 教授
吉岡斉 :九州大学副学長同大学比較文化研究院 教授

●8月5日(日)のパネリスト
枝廣淳子:幸せ社会経済研究所 所長
崎田裕子:ジャーナリスト・環境カウンセラー
田中知 :東京大学大学院工学系研究科 教授
西岡秀三:地球環境戦略研究機関 研究顧問

専門家委員会 (討論資料及び質問紙に関して、議題についての専門的見地から、意見や助言を提供します)
植田和弘 :京都大学大学院経済学研究科教授
枝廣淳子 :幸せ経済社会研究所所長
大島堅一 :立命館大学国際関係学部教授
荻本和彦 :東京大学生産技術研究所特任教授
崎田裕子 :ジャーナリスト、環境カウンセラー
田中知  :東京大学大学院工学系研究科教授
西岡秀三 :地球環境戦略研究機関研究顧問
松村敏弘 :東京大学社会科学研究所教授

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