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藤井敏道氏・セメント協会 生産・環境幹事会幹事長/三菱マテリアル株式会社 常務取締役に聞く[前編]

コンクリートが人の命を守る


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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循環型社会の形成でセメント業界は大きく貢献

――一般にはあまり知られていませんが、下水汚泥の処理などでセメント業界は世の中に役立っているのですね。

藤井:地震に対してセメントを供給してインフラや社会基盤の整備に貢献することと、もう1つは、震災後、震災廃棄物等をきちっと処理して貢献することがセメント産業に課せられています。震災瓦礫にはコンクリート殻などいろいろありますが、木屑も多い。それらの処理は我々の岩手工場でも震災後6月からスタートしています。震災瓦礫は、産業廃棄物と一般廃棄物の内、一般廃棄物になりますが、資格を取得していないと処理できません。我々はもっと早くやりたかったけれど、資格の認定証をもらうまでに数カ月がかかりました。

――認定証が必要なのですか。

藤井:ようやく取得できました。地元の一関市で地震により倒壊した家屋の木屑や畳等の処理を始めました。

――瓦礫の処理は問題ですね。廃棄物を再利用する技術はありがたいです。

藤井:はい。しかし、東北地区の地元のセメント工場だけで処理できる量ではありません。九州や山口県、広域でも処理しなくてはなりませんが、その時の一番の問題点が放射能問題です。東京都での震災瓦礫の処理も、地元の方が受け入れることに理解がないと始められません。また放射能については自然界にも普通に存在しますし、同様のレベルの放射線であれば健康への影響がないことへの理解も不可欠です。

――放射能問題への理解は大きな課題です。

藤井:広域での処理については、まだ理解が得られていません。東京都での処理が1つの先鞭になって、各地の自治体、または地元の方々の理解が得られればスタートする可能性があります。また、セメントの品質としての安全性については、原子力災害対策本部を経て国交省から通知が出ましたが、実際に使われる方々が安全で大丈夫だと納得してもらえるかどうかの問題があります。

――不法投棄問題にも取り組まれたそうですね。

藤井:セメントは、自然共生社会へ向けて3つの貢献をしています。セメントを製造する意味での貢献、コンクリート製品としての貢献、また独自の活動として森林の健全な育成と整備があります。代表的な例としては産業廃棄物への貢献があります。岩手県と青森県の県境に産業廃棄物が山のように積まれた問題が出ました。一般にはご存じないかもしれませんが、これをセメント工場に運んで処理しています。