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発送電分離問題の再考②-2

発送電分離=市場化のリスクをどう考えるか?


海外電力調査会調査部 上席研究員


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資本コストの上昇と電気料金への影響

 数兆円の資産に対して資本コストが1%上昇したら、年間の費用は数百億円上昇する。この点は、発送電分離や市場化にあたって最も考慮すべき点である。英国では当時、中央電力庁(CEGB)の資本コストが5%前後であったのに対し、競争市場でIPPが建設する発電所の資本コストは12~18%に上ると試算された。また、配電会社(当時は供給と一体)の格付けについても、自由化後、軒並み引き下げられている。

 そのようななかでも1990年代に英国の電気料金が大幅に低下したのは、インセンティブ規制や競争を通じて、国有事業者の莫大な非効率性が排除されたこと、国内炭補助政策が廃止されたこと、そして、非常に安価な北海ガスの利用が可能になったことなど、多くの要因が重なったためである。

料金が大きく変動する英国

 電力取引所の商品を通じてヘッジできる期間は長くても向こう3年である。また、小売市場が全面競争となった場合には、需要家ベースも確実なものとはならない。このような状況下で、発電事業者は投資リスクを低減させるため、固定費の比率が小さいプラントを建設し、燃料も短期契約で購入する傾向がある。このようななかで、燃料費が安かった2000年代初頭までは、英国の電気料金は欧州諸国で最も安かったが、燃料費の高騰が始まった2003年頃から急上昇し、今では最も高い国の一つとなっている。この間の料金には2倍近い開きがある。他方、原子力比率が高く、また、自由化の度合いが小さいフランスの料金には変化はない。長期的に見れば両国の料金総額には大差はないと見られるが、いずれのシステムがよいかは国民の判断ということになろう。なお、ドイツの料金は、税金や再エネ支援コストが全体の4割近くを占めるために突出して高い。

英独仏3カ国の家庭用電気料金の推移
英独仏3カ国の家庭用電気料金の推移

原子力比率が高く自由化の度合いが小さいフランスの電気料金が安定的なのに対し、
英国の電気料金は燃料費の変動の影響を大きく受けている(出典:欧州統計局)