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発送電分離問題の再考②-2

発送電分離=市場化のリスクをどう考えるか?


海外電力調査会調査部 上席研究員


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一体的運営の崩れがリスクをもたらす

 発送電の分離はほかにも問題を引き起こしている。例えば、電源が最も必要とされる地点に建設されないという問題が多くの国で発生している。その弊害として挙げられるのが送電線の容量制約の増大である。北欧の「ノルドプール」では、制約発生時に市場分割(市場を東日本と西日本とに一時的分割するというイメージ)で対応、ドイツやフランスの場合は、電力取引市場の制度を標準化し、両国間の連系線の容量を効率的に利用できる仕組みに変更することで対応している。英国ではゾーン別料金制(送電容量が不足している北部地域の送電線使用料は高く、ロンドン近郊はネガティブ価格)を採用することで電源を適所に誘導しているが、北部に集中する風力に打撃となるなど問題も出ている。

 また、電源の開発計画が実施に移されるかどうかが、短期的な市場動向に大きく左右されるために、計画の実行性が不透明化していることも問題視されている。発電事業者が送電会社に接続を申請したプラントの総容量は、現時点で、原子力が3000万kW、風力が4000万kWに達するが、実際に建設される容量は半分にも満たないと想定されている。送電会社は申請に沿って基幹系統の増強工事の準備に入るが、半分以上がキャンセルとなる状況のなかで、投資判断が難しいという問題に直面している。

 プラントの閉鎖についても同様である。英国ではプラントを閉鎖する場合、通知期限(6カ月)まで通知されないケースが多いが、大型プラントの場合、系統運用者は、閉鎖に伴う系統運用計画の見直しに1年以上が必要であるとしている。現在、老朽化や環境規制によって大型プラントの大量閉鎖が予定されているが、多くは戦略的に期限まで通知されていないと推測されている。このタイムラグは発電事業者の利益獲得戦略にもなる。

 一方、系統運用面では、規制で最低限は義務付けられているものの、発電プラントに関する情報が少なく運用計画や工事計画の立案に支障を来しているケースがある。また、従来の「Cost Merit Order」から「Price Merit Order」に代わり、各事業者の価格想定の差異から、発電コストの高い電源が運転されるケースなどもある。また、インバランス決済を避ける観点から、柔軟な対応が可能となるよう定格出力以下で運転を行うプラントが増え、システム全体の効率が悪くなっているとの指摘もある。