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東日本大震災が浮かび上がらせた電力インフラの弱点


国際環境経済研究所主席研究員


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電力網の安定化はどうあるべきか

 今回の大震災により、日本はエネルギーに対する視点を大きく改めることが求められている。第一が、省電力の徹底によるエネルギー効率世界一の地位を定着させることだろう。エネルギー消費を減らす行動がコスト削減や地球温暖化対策という枠を超えて、国民生存の危機を回避するために極めて重要な行動であるという現実を、我々は大きな衝撃とともに思い知らされた。

 こうしたなかで、電力供給を効率よく使って最大の経済効果を追求するための節電の仕組みと省エネルギー、さらに産業界の自家発電量の増加が知恵の出しどころである。省エネや自家発電増強対策が、コスト削減効果だけでなく減産防止効果を生む時代になったという認識が重要である。すでに世界最高のエネルギー効率を誇る日本の産業界であるが、節電を定着させることで、一段とエネルギー効率のよい社会の構築を目指すことができる。

 第2に、緊急事態に対応できる柔軟な系統連系を構築する必要がある。電力会社10社、それぞれの範囲を超えて起きる震災や風水害に迅速に対応するには、全国レベルの司令塔が必要である。外部からは窺い知ることができないが、現体制は速やかに司令塔に情報が集まる仕掛けになっているのであろうか。情報が集まっているとして、司令塔は機能したのであろうか。

 同一周波数地域の電力融通では、電力会社間の連系線利用を管理する一般社団法人電力系統利用協議会および依頼先の電力会社に原則2時間以上前までに連絡し、協議することになっている。しかし、これでは震災のような緊急時には絶対に間に合わないのではないか。仮に、図1に示す50Hz地域全体が一元管理できていれば、速やかに対処できるであろう。60Hzの地域とあわせ、全国を管理する組織があればもっとよい。これは、電力会社の人たちが嫌う発送電分離の効果として検討すべき重要な論点である。