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再生可能エネルギーは原発を代替できるか


国際環境経済研究所主席研究員、JFEスチール 専門主監(地球環境)


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すべての原子力発電は、他の電源で代替可能化

 次の記事でブレークスルー研究所は、日本が福島の原発事故で従来の原子力政策を転換し、すべての原子力発電を他の電源で代替した場合のシミュレーションを行っている。社民党や共産党は福島原発事故を受けて、すでに、既存を含む原発の全廃と再生可能エネルギーなどによる代替を主張し始めている。一部の環境NGOなども、原発なしでも日本は二酸化炭素(CO2)の25%削減が可能であるとの試算を発表しているようであるが、こうした議論に定量的な現実感を与えてくれるものとしてこのブレークスルー研究所のシミュレーション結果を紹介する。

「The Costs of Replacing Japan’s Nuclear Power」
(2011年4月8日)
要旨紹介
 2009年の日本の電力供給の約27%(2670億kW時)が原子力で供給されているが(註:日本のエネルギー白書では29.2%とされている)、同じ電力量をすべて石炭火力で代替供給する場合の発電所建設費概算は1010億ドル(8.3兆円)、追加的に必要な石炭購入費用は石炭価格を1tあたり124ドルとして112億ドル(9000億円)となり、日本の08年~10年平均貿易黒字466億ドルの約24%の負担となる。この場合の日本のCO2排出量は17%増加する。

 同じ電力量をLNG(液化天然ガス)発電で代替した場合は、建設費410億ドル(3.4兆円)、LNG燃料購入費175億ドル(1.5兆円)となり、貿易黒字の約38%が飛ぶことになる。このケースのCO2排出量は約10%増加することになる。

 こうしたCO2排出量の増加を回避するため、再生可能エネルギーで代替したケースの試算も行われている。もし、日本の09年の原発発電量を全て太陽光発電で代替するとしたら、日本の太陽光の実効効率を15%と仮定して2030億ワット(2億kW)の発電能力を持つ太陽光パネルを設置する必要があり、総建設費用は1.01兆ドル(83兆円)、設置に必要な面積は130万エーカー(5260km2)を要する。(註:およそ千葉県全体の面積に太陽光パネルを敷き詰めるイメージになる)

 同様に、すべてを風力発電で置き換えた場合、必要な風力発電設備能力は、1.52億kWとなり、設置コストは1kWあたり設置費用2466ドルとして3750億ドル(31兆円)になる。米NRELのデータを使うと、この風力発電の設置に必要な総面積は、やはり130万エーカー(5260km2)になる。
(原文http://thebreakthrough.org/blog/2011/04/replacing_japans_nuclear_power.shtml