環境
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2015/06/22
日本の削減目標について(その1)
エルマウ・サミットで安倍総理が2013年比26%減という温室効果ガス削減目標を表明し、同じ頃、ボンで行われている国連交渉の場でも日本代表団から説明がなされた。今後、パブリックコメントを経て7月頃、約束草案を国連事務局に提出する運びとなっている。 続きを読む
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2015/06/17
温室効果ガス「先進国は2050年に△80%」から「世界全体の協力が不可欠」と文言が変わったG7
この機に日本の長期目標△80%の見直しをエルマウのG7合意では、IPCC第5次報告に基づいて「世界全体で△40%から△70%」という温室効果ガス削減量が提示されて、これは広く報道された。 続きを読む
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2015/06/05
日本の2030年目標はどのように決まったか(1)
4月30日に、筆者もメンバーとして参加する約束草案検討ワーキングにおいて、日本の温暖化目標の要綱が示され、大筋で了承された。5月21日時点では、政府が具体的に国連気候変動枠組み条約事務局に提出する原案を作成している。その後パブリックコメントを経て地球温暖化対策推進本部で決定し、条約事務局に提出することとなる。 続きを読む
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2015/06/04
約束草案提出にあたっては京都議定書の悪夢再来を避けよ
~米国の約束草案は検証・実現不可能?~6月2日、政府は地球温暖化対策推進本部において我が国の温暖化対策に関する約束草案政府原案を決定した。2030年に温室効果ガスの排出量を2013年比で26%削減するというものであり、6月7~8日にドイツで開催されるG7サミットで安倍首相が国際社会に向けて発表する予定と聞く。 続きを読む
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2015/05/27
総選挙後の英国のエネルギー環境政策
5月7日の英国総選挙は、保守党、労働党ともに過半数を割り込み、ハング・パーラメントになるとの世論調査の予測を大きく裏切り、保守党が単独過半数を占めることとなった。保守党と連立を組んでいた自民党は壊滅的な敗北を喫し、エド・デイビーエネルギー気候変動大臣も議席を失った。 続きを読む
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2015/05/25
京都議定書の「呪縛」を解き放て
(産経新聞「正論」からの転載:2015年5月15日付)
今年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に臨む日本のあるべき基本姿勢とは何か。 続きを読む
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2015/05/19
太陽光発電と蓄電池の組み合わせの普及
太陽光発電設備のコストの下がり方が急激であることはこれまでの実績が示しているが、蓄電池価格が実用的なレベル、特に住宅などに使われるほど下がるのにはまだ時間がかかると最近まで考えていた。 続きを読む
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2015/05/12
経済成長と温暖化対策の両立ーデカップリングは本当か?
デフレ脱却が日本の温室効果ガス削減の条件4月下旬に、欧州連合(EU)の東京代表部で駐日EU大使、フランス大使、英国大使、ドイツ大使、スウェーデン大使、デンマーク大使などによる気候変動政策に関するシンポジウムがあった。 続きを読む
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2015/05/01
水素社会を拓くエネルギー・キャリア(最終回)
エネルギー・キャリアの開発利用の進め方これまで4回に渡ってMCH(メチルシクロヘキサン)、液体水素、アンモニアの3つのエネルギー・キャリアについてご紹介してきた。【表1】にそれらの特徴をまとめてみよう。 続きを読む
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2015/04/30
米国の自動車戦略~燃料電池自動車
“all-of-the-above”政策
米国エネルギー省は、2015年3月3日、燃料電池関連と水素エネルギー技術の開発に3500万ドルの投資を行うことを発表した。トヨタの燃料電池車“Mirai”が市場投入され、世界的に注目されている燃料電池自動車(FCEV)。 続きを読む
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2015/04/27
COP21・パリ会議で、議長国フランスの柔軟な姿勢は活かされるか
先月、「COP21に向けて」と題する第四回欧州エネルギー・フォーラムが開催され、招かれて参加した。欧州以外の地域の人達の意見も聞きたいと言う主旨で声がかかったものだ。会議では、率直な意見交換があり、興味深いものであった。印象深かった点を数回に分けて紹介したい。 続きを読む
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2015/04/24
気候変動交渉はなぜ難航するのか?(その3)
国連における合意形成の難しさ
温暖化交渉の淵源は1992年の国連気候変動枠組条約である。温暖化問題はグローバルな問題であるから、全ての国が参加する国連で交渉するというのは否定しようのない正論である。しかし、温暖化交渉が難航している要因の一つが国連という場にあるというのも否定しがたい事実である。 続きを読む
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2015/04/23
米国の次世代エコカー開発(2)
全米100の「クリーンシティ」での代替燃料車の普及全米100の自治体と連携してエネルギー省(DOE)が進める「Clean Cities」プロジェクトでは、排ガスを出さないEVやプラグインハイブリッド(PHV)などの電動自動車ほか、プロパンガス自動車や天然ガス自動車、バイオ燃料自動車なども含めた代替燃料車(AFV: alternative fuel vehicles)の普及により温暖化対策を推進している。 続きを読む
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2015/04/21
【緊急提言】誤解だらけの気候変動問題
-基準年はいつにすべきか-日本の2020年以降の削減目標の「基準年」はいつになるのか。一般の方にはそれほど関心のない地味な事柄だが、しかし、基準年をいつにするかで目標の見え方は全く異なる。交渉プロセスにおいては必ず、各国の削減努力の公平性が議論されるので、いわゆる交渉官は基準年の違いによって生じる「見かけの削減量」の大小に騙されることはない。 続きを読む
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2015/04/21
気候変動交渉はなぜ難航するのか?(その2)
負担分担の難しさ
マイナス・サムの温暖化交渉の難しさは温室効果ガス削減コスト負担をどう国際的に分担するかという問題に帰着する。温室効果ガス削減コストは、エネルギー多消費産業を中心に産業の国際競争力にも影響を与える。 続きを読む
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2015/04/20
米国の次世代エコカー開発(1)
今年12月パリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、世界各国が2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組みの合意を目指す中、米国は排出削減・抑制目標について2025年までに温室効果ガス排出量を05年比で26~28%削減するという米中合意を経て、3月末に国連に提出した。 続きを読む
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2015/04/16
【緊急提言】誤解だらけの気候変動問題
-省エネに対する期待は”適正”か-日本の温室効果ガス排出量が増加している。環境省が4月14日に発表した確報値では、2013 年度の我が国の温室効果ガスの総排出量は、14 億 800 万トン(CO2換算)となり、 続きを読む
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2015/04/16
気候変動交渉はなぜ難航するのか?(その1)
温暖化交渉の風刺漫画
気候変動交渉に関する風刺漫画は多い。試みにclimate negotiation, cartoonというキーワードで画像検索してみると、あきれるほど多量の漫画が出てくる。そしてそのどれもが、遅々として進まない温暖化交渉を揶揄したものばかりだ。典型的なものを4枚ほど紹介する。 続きを読む
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2015/04/15
【緊急提言】誤解だらけの気候変動問題
-米国の削減目標に左右されるな-東京で桜が満開になった3月31日、米国が国連気候変動事務局(UNFCCC)に2020年以降の温暖化目標を提出した。昨年11月にオバマ大統領が中国を訪問した際、米中共同で発表した内容と同じく、「2025年までに05年比で26~28%削減する」というものだ注1) 。 続きを読む
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2015/04/09
「ゴミ問題」の危機感と解決策提案
書評:野口 健 著「世界遺産にされて富士山は泣いている」(電気新聞からの転載:2015年3月20日付)
著者とはもう何年のおつきあいになるだろうか。環境雑誌の企画で、対談をさせていただいたのが最初の出会いであった。 続きを読む