ウガンダ共和国の経済発展と日本の役割


一般財団法人あしなが育英会 理事

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国際環境経済研究所理事長の私(小谷)は、一般財団法人あしなが育英会の監事を長年勤めています。一般財団法人あしなが育英会は、国内の遺児の支援に加えて、アフリカでの支援活動も行っています。

今回、アフリカ・ウガンダで活動をしてきた岡崎祐吉さんが帰国されたので、ウガンダの現状について寄稿いただきました。日本にいては分からないアフリカの発展について報告いただきました。

一般財団法人あしなが育英会は、病気や災害、自死(自殺)などで親を亡くした子どもたちや、障がいなどで親が働けない家庭の子どもたちを奨学金、教育支援、心のケアで支える民間非営利団体です。我が国の遺児に対しては、今日まで60年近く支援を続けておりますが、2000年からはアフリカのウガンダ共和国で現地の遺児たちへの支援を始め、今年で26年になります。私は、2000年の現地活動拠点「あしながウガンダ」立ち上げから毎年のように渡航し、今回は3年間の駐在を経て本年3月末に帰国しました。本稿では、急速に発展するウガンダと今後の日本の役割について皆さんと共に考えていきたいと存じます。

ウガンダを訪れ始めた2000年代初頭は、内戦からの傷跡から立ち直りつつある発展途上国という印象が強かったのですが、今では、東アフリカでも屈指の経済発展を遂げ、絶え間なく成長を続けています。毎年6%以上のGDP成長率を維持しており、今後の本格的な原油生産の開始(2027年以降を予定)を控えて投資が活発化し、さらなる成長(7%超)が予測されております。ピーク時の原油生産量は日量23万バレルとなり、後述のパイプラインを通しタンザニアに輸送され輸出される計画です。

首都カンパラを中心にビルや道路が整備されており、中国などの外資導入による大規模な道路網や商業施設の建設が進み、かつての「シンガポール」のようなダイナミックな発展の兆しを見せています。伝統的な自給自足農業やコーヒー栽培などのモノカルチャーから、製造業、建設業、観光業、さらにはデジタル、金融サービスへと産業構造の多角化も進んでいます。

2000年には2000万人だった人口も2025年には5000万人に、2050年には8500万人になると言われ、人口の15歳以下が50.3%と世界で2番目に若く、35歳未満の人口が75%を超え、潜在能力にあふれる国でもあります。ウガンダ政府の計画では、2040年までにはGDPを現在の500億米ドルから5000億米ドルと10倍にすることを掲げています。一人当たりのGDPも現在の1300米ドルから7000米ドル(2040年)へ増加させる計画で、このトレンドは、ウガンダだけに留まらず、周辺のケニア、ルワンダ、タンザニアでも顕著で、各国それぞれ4%~6%のGDP成長を続けています。

年々、中国企業の進出も非常に盛んで、政府主導の「一帯一路」政策のもと、インフラから製造業まで、生活のあらゆる基盤に深く食い込んでおり、中国からの進出企業は数千社にのぼると言われています。巨大インフラ開発(首都カンパラとエンテベ国際空港を結ぶ高速道路、水力発電所、空港の拡張工事など)のほとんどが中国企業と言っても過言ではありません。首都カンパラにはシェラトンホテルや欧米の高級ホテルも目立ち、現在は巨大なマリオットホテルも建設中です。特にウガンダ西部で進む巨大な石油開発プロジェクトにおいても中国企業が中心的な役割を担っており、タンザニアへと続くパイプライン建設にも深く関与しています。そのために巨大な工業団地を中国企業が建設、運営し、現地でスマートフォン組み立てや繊維、鉄鋼、プラスチックなどの製造業を展開、大量の雇用も生み出しています。

 

ウガンダでは5つ星ホテルの建設ラッシュ(ヒルトンホテル/首都カンパラ)

 

もうすぐ巨大なマリオットホテルも完成する

数千社にのぼる中国企業と比べ、規模は非常に小さいですが、日本企業も特色のある事業で現地に深く根ざしています。豊田通商は、ウガンダ国内の自動車シェアで圧倒的な強さを誇っていますし、新車販売やアフターケアサービスも展開しています。SARAYA(サラヤ)は、現地感染対策として、ウガンダ国内でのアルコール消毒剤の現地生産、普及を行い、医療崩壊を防ぐ大きな貢献をしております。もちろん、JICAも長年に亘り、農業(米の栽培技術など)やインフラ整備の分野で日本の技術力が現地で高く評価されており、協力隊の若いボランティアの皆さんたちもウガンダ全土での人材育成に大きく貢献しています。最近では、日本の若い起業家がウガンダで起業するケースも増え、デジタル金融や物流、eコマース、農業テックといったウガンダの若者の高い携帯電話普及率を生かしたデジタルビジネスを展開し始めています。道路、ダム、石油、大規模製造業でインフラを作る巨大な存在である中国企業に対し、自動車、衛生、ITスタートアップ、農業などの製品、技術のクオリティが高く、人材育成の面で大きく貢献できる日本の存在は、ウガンダはじめアフリカ各国の発展のために今後ますます大きくなっていく気がします。

ただ残念なことに、経済が急速に発展していくその陰で、ウガンダの遺児や保護者たちはその恩恵を受けられず、社会から取り残されている状況は25年前と全く変わりません。物価高騰で学問よりも明日生きる食糧を、の選択をせざるを得ない遺児家庭も少なくありません。しかし、私たちあしなが育英会が初めてウガンダのある村に入ってからの26年、その小さな村から、今まで50人超の親を亡くした遺児が日本の大学への入学を果たしました。今、この留学制度は、ウガンダからアフリカ48か国にまで広がり、毎年、アフリカ各国の遺児が日本を含む世界の大学に入学するまでになり、卒業生は2025年度末で180人となりました。貧しくとも高い志を持って懸命に勉強を続け、日本や世界各国の高等教育を受けた彼らが、卒業後、日本とアフリカ、そして世界とアフリカの架け橋となり、彼ら自身がアフリカの貧困撲滅と未来を創造していくリーダーに育っていくことを期待しながら、これからの50年、100年を見守っていきたいと思っています。