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SNS時代の不寛容


国際環境経済研究所理事長


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エネルギーレビューより転載:2021年10月号)

 アマゾンで書籍を購入したら、「お勧めの一冊」という紹介がきた。ツイッターやフェイスブックに反応すると、興味深いセミナーの案内がくる。

 これは、AIが「ワタシ」の思想・趣味の属性を分類し、「ワタシ」に特化した広告を提供するマイクロターゲットという手法だ。「便利な世の中になったな」と喜ぶ反面、個人をAI上のコミュニティーに分類して、自分好みの商品・サービスが示されると、監視社会の薄気味悪さを感じる。

 「多様性が大切」と言うが、意見が合わない人と話すより、同じ考えの人といる方が心地良いのが人間の本性だ。コロナ下の「ステイホーム」で、対面せずSNSと睨めっこしていると、自分の信じる情報だけにアクセスし、聞きたくない話は「フェイクニュース」と決めつける、不寛容な世の中になるかもしれない。

 2011年に故・澤昭裕さんと国際環境経済研究所を立ち上げ、「経済と温暖化のバランスのとれた発信」を心掛けてきたが、「地球は絶滅の危機なのに、あなたがたはお金の話ばかりしている」というグレタ・トゥーンベリさんの厳しい指摘にはたじろぐ。

 ところが、温暖化はエネルギー問題であり、先進国だけが旗を振っても解決できない。発展途上国は成長する権利があり、先進国が「石炭発電を止めろ」と言っても、生きていくために必要な化石エネルギーを捨てられない。

 民主主義とは、意見の異なる者たちが、お互いの頭をたたき割るのではなく、主張を戦わせて妥協の道を探るプロセスである。

 SNSにより人々の分断化が助長されているが、「私はあなたの意見に反対だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけても守る」というボルテールの言葉が好きだ。