経済成長はギブアップ

-2050年温暖化ガス▲80%削減の世界-


国際環境経済研究所理事長

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日本だけが成長していない

 昨年(2015年)9月、安倍政権は2020年頃に日本の名目GDPを600兆円とする目標(2014年度は487兆円)を打ち出した。少子高齢化の中で社会福祉などの財源を確保するためにも経済成長が必要だとの考えである。
 「失われた20年」に慣れていたわれわれに、「日本経済は成長する」というワクワク感を思い出させてくれた。

 そういえば、日本の名目GDPは、1995年以来20年もの間、500兆円付近をずっと横ばっている。

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 通貨の影響もあるが、ドルベースで見ても、日本の名目GDPは成長していない。2010年頃に、中国に世界第二位の地位を明け渡すと、中国はスピードを上げ、今や日本の2倍以上と大きく引き離している。1995年にはアメリカの背中も見えていたのが、今ではアメリカは日本の4倍近くと大きく差がついている。

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 先進国の中でも、1995年以来、GDPがマイナス成長は、わが国だけである。
 ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツも成長しており、日本の低成長は際立つ。

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世界の中の日本のプレゼンスは低下している

(世界の中の日本のGDPシェアは17%(1990)から6%(2050)と大きく低下する事が予想されている)

 RITEの「世界および日本のCO2・温室効果ガス排出見通し2014について」(平成26年11月18日、RITEシステム研究グループ)によると、GDPの各国シェアは、1990年には、アメリカが30%、EU15が26%、日本17%に対して中国は2%に過ぎなかったが、2011年には、アメリカが29%、EU15が21%、日本12%に対して中国は9%、これが、2050年にはアメリカが22%、中国は21%、EU15が12%に対して日本は6%と予想されている。

 IMF“World Economic Outlook(2015.10)では、日本はすでに2013年に6.5%となっており、地位の低下は著しい。

(注)2011年の中国の9%は少し過少ではないかと思われる

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