経済成長はギブアップ
-2050年温暖化ガス▲80%削減の世界-
小谷 勝彦
国際環境経済研究所理事長
(日本のCO2排出量シェアも5%(1990)から1.5%(2050)と低下が予想されている)
一方、エネルギー起源CO2排出量は、RITEによると、京都議定書の基準年であった1990年には、アメリカが23%、EU15が15%、中国が12%、日本が5.1%であった。
1990年の世界最大の排出国はアメリカであったが、2006年、中国がアメリカを抜き去り世界第一位のCO2排出国となり、年を追うごとに排出量を増やしている。
COP21において、アメリカとともに中国を入れるため、プレッジ・アンド・レヴュー方式を取り入れたのは必然と言える。
直近(2011)の世界の割合を見ると、中国が28%、アメリカ17%に対して、EU15が9%、日本は3.8%と環境先進国の割合が低くなっている。
一方で、GDP第7位のインドが5.8%となっている。(2013年、IEA)
2011年、世界のGDPがアメリカ、中国の二大国で38%を占めたのと同様、CO2でもアメリカ、中国が45%を占める一方で、欧州がEUバブルで力を示そうとしているが、日本のプレゼンスは低下しつつある。
2050年、RITEでは、中国が23%、インドが15%、アメリカが10%に対して、EU15が5.6%と予想しており(拡大したEU28は7%)、日本のプレゼンスは、わずか1.5%と存在感が薄くなっている。
環境省の「2050年温暖化ガス▲80%削減が実現した社会」
環境省は2016年2月26日、気候変動長期戦略懇談会(懇談会と略す)において、「2050年温暖化ガス▲80%削減が実現した社会の絵姿」を提案しており、先日、3月4日の中環審/産構審合同会議でも、2050年温暖化ガス▲80%削減を日本の長期目標とすることを主張している。
現状、我が国のCO2排出量は12億3500万トン(2013年)であるから、2050年に▲80%削減するということは、2億5000万トンの排出量にすることになる。CO2排出量では世界第22位の台湾規模にしようという。
((注)ここでは温暖化ガスを便宜上、CO2として整理した)
その時、日本はどのような国の姿になっているのだろうか?
台湾は、日本の1割の土地に2割の人口、1割のGDPの国。日本がCO2を2割にするということは、台湾と同規模の国を目指すのだろうか。