GHG削減には、全体最適の視野が大切(1)

製品等を通じたGHG排出削減貢献量評価


一般社団法人日本化学工業協会 技術部長

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 まず、製品のライフサイクルから排出されるGHGの現状を把握するため、幅広い文献データと、独立した第三者機関の監査を受けた独自の調査を基に、GHG排出量のデータが揃っている2005年の排出量に対する化学産業の影響を算定した。次いで、マッキンゼー社が、社内で保有するモデル化とグローバルGHG排出削減コスト曲線の研究に基づいて、2030年に向けた二つのシナリオ、すなわち、「現状努力継続(BAU)シナリオ」とその代替案である「最大削減努力(Abatement)シナリオ」で、この影響がどのように変化するかを評価した。一方、ICCAに参加する世界の企業の専門家が協力し、100以上の化学製品の利用事例について、原料・燃料の採取から生産・廃棄に至るまでの、全ライフサイクルに亘るCO2e(温室効果ガスの二酸化炭素等価量)排出量の分析(cLCA)を行った。これらのcLCAは産業の主要部門に亘っており、化学製品に関連付けられるCO2e排出削減の代表的部分を網羅している。次に化学製品のCO2排出削減貢献量を評価する手法として、cLCA手法を開発した。
 ICCAで採用したcLCA手法では、BASFで開発した手法をベースに、原材料の採取、生産、使用、廃棄の全段階を通じて、特定用途における化学製品のCO2e排出量を、現在のライフスタイルが維持できる化学産業以外の次善の代替策と比較した。化学産業が炭素排出量に与える影響を表す評価指標として、上記の次善の代替策にかえて化学製品の使用により実現した製品の全ライフサイクルの間で達成されるCO2e総削減量(正味の排出削減貢献量;Avoided Emissions)を用いた。
研究の結果、

使用段階で排出されるCO2が大きいこと
2030年までに最大削減努力シナリオで達成されるCO2削減貢献量は、化学業界が推進する業界自身による削減量より一桁大きな100億トンCO2eオーダーの規模の削減貢献量になること(世界のエネルギー起源CO2排出量は2011年313億トン;IEAより)
色々な製品の中でも、断熱材によるCO2削減効果が非常に大きいこと

等が判明した。
 マッキンゼー社の2030年に関するシナリオとcLCA手法による研究の総合結果として、化学製品の適切な使用により、相当の削減が実現しており、今後数年間に削減は、更に増大することが判明した。

化学製品が寄与するGHG削減の可能性

 

冊子

 この研究結果は、「温室効果ガス削減に向けた新たな視点/化学産業が可能にする低炭素化対策の定量的ライフサイクル評価」と題する冊子にし、イタリア ラクイラで開催されるG8サミットの前日2009年7月7日にローマで、翌日米国ワシントンDCで、日本においては7月10日に一般社団法人日本化学工業協会(日化協)で公表した。

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