2012年12月のアーカイブ
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2012/12/28
最終話(3の3)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(その3)」
4.日本の取り組み(3):二国間オフセット・クレジット制度
世界全体で低炭素成長を実現していくためには、省エネ、再生可能エネルギーなどの低炭素技術を活用するインフラへの投資を世界全体で促進していく必要がある。エネルギー効率の水準が低いが、エネルギー需要増大が見込まれる途上国において特にその必要性は高く、これらの国々において低炭素関連インフラへの投資が十分かつ速やかに行われるか否かは、今後数十年の経済成長とCO2排出の方向性を左右する決定的に重要な要素であると言って良い。 続きを読む
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2012/12/28
COP18参戦記 最終日
「国連気候変動枠組交渉」と書いて「待つ」と読む。
それくらい今回のCOPは待たされることが多かった。国連気候変動枠組条約の締約国会議(Conference of the Parties)すなわちCOP(京都議定書の締約国会議やいくつかの補助会議もあわせて開催される)の正式な会期は月曜日から2週間後の金曜日までと設定されている。 続きを読む -
2012/12/27
最終話(3の2)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(その3)」
2.日本の取り組み(1):東アジア低炭素成長パートナーシップ
これまで本連載において触れたとおり、これは、東アジア首脳会議(East Asia Summit)の枠組みを活用して、温暖化対策の実際的な地域協力を進めていくべきとして日本が提案したものである。
背景には、世界と日本にとってのこの地域の重要性があげられる。EASメンバー国18カ国は世界の成長センターであるとともに、最大の温室効果ガス排出地域でもある。 続きを読む -
2012/12/26
最終話(3の1)「ポスト『リオ・京都体制』を目指して(その3)」
カタール・ドーハでのCOP18が終わった。
昨年の南アフリカ・ダーバンでのCOP17と同様、30時間余の交渉延長の末に、一連の合意文書「ドーハ気候ゲートウェイ(Doha Climate Gateway)」がとりまとめられた。COP17で立ち上げられたのが「ダーバン・プラットフォーム(Durban Platform)」だったので、一年かけて「プラットフォーム」が「ゲートウェイ」になったわけである。言葉の響きからすると足踏み感、遅々として進まない交渉といった感がなくはない。 続きを読む -
2012/12/25
COP18参戦記 day4
現場に行ってみるとそれまで聞いていた話や自分の想像と全く違っていた、というのはよくある話である。この国連気候変動枠組み交渉においても、そんな驚きをいくつも経験した。その一つが「化石賞」である。 続きを読む
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2012/12/21
冬の暖房費節約術 電気その2
冬のガス代と電気代はある意味恐怖の通知表に近いものがありますね。できるだけ省エネを心がけて、請求書が来ても青くならないようにしたいものですね。
前回は、暖房費節約のポイント7つご紹介しました。今回は、具体的な節電方法をご紹介します。 続きを読む
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2012/12/19
冬の暖房費節約術 電気その1
気づけば12月、街はクリスマス色に染まってキラキラしていますね。
慌ただしく過ぎ去ってしまう師走ですので、大掃除、年賀状、帰省の準備、修理、買い物…と仕事の他にもやるべきことがたくさんありますので、早めにそして計画的に進めていきたいと思っています。また、冬になると上がるのが光熱費、先日はガスの節約方法をご紹介しましたが、電力会社各社が値上げを発表しており、この冬は電気代が上がることが予想され、家計には厳しい冬となりそうです。 続きを読む
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2012/12/18
ハリケーン・サンディによる米国東部大規模停電が問いかけたもの
-停電と電力システム論に関する日米比較-日本で大きく報道されることはなかったが、2012年10月末に米国東海岸に上陸したハリケーン・サンディは、ニューヨーク市を含め合計850万軒という過去最大規模の停電を引き起こした。ニューヨークでも計画停電の実施に加え、ほぼ1ヶ月間停電の続いた地域があったなど、被害の全貌が明らかになりつつある。一方わが国では2011年3月11日の東日本大震災直後の首都圏での停電や延べ10日間にわたって行われた計画停電が記憶に新しい。 続きを読む
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2012/12/13
2030年に向けたエネルギー政策への期待
2030年に向けたエネルギー政策が議論されています。原子力エネルギーへの依存のあり方が焦点となっていますが、考えなければならないことはこの問題だけでしょうか?
エネルギー政策の選択肢
エネルギー政策の議論の背景には、「エネルギー・環境に関する選択肢注1)」で示された2030年の電源構成に関する3つのシナリオがあります。 続きを読む
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2012/12/12
電力供給を支える現場力②
-冬に備える北海道電力苫東厚真発電所-命あるものはやがて死に、形あるものはいつか壊れる。
高度に管理され、予定通りに物事が運ぶのが当然の現代社会に生きていると、こんな当たり前のことすら忘れてしまうことがある。予定通りに物事が運ぶ社会は、実は様々な関係者の努力で支えられているのであるが、そうした関係者のいる「現場」が消費者から遠く、見えづらくなっているからだろうか。 続きを読む -
2012/12/11
第7回 日本自動車工業会 環境委員会運輸政策対応WG主査/トヨタ自動車株式会社 環境部担当部長 大野栄嗣氏
世界の自動車メーカーが燃費向上の競争、技術の戦国時代にある第7回目にご登場いただくのは、日本自動車工業会環境委員会運輸政策対応ワーキンググループ主査で、トヨタ自動車株式会社環境部担当部長の大野栄嗣氏です。注目を集める次世代自動車の最新動向や自動車業界の省エネ対策について等、率直なお話を伺いました。 続きを読む
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2012/12/10
原発事故による放射性物質拡散を減らす手段(改訂版)
福島の事故による放射性物質の拡散の経験を踏まえて、各地の原子力発電所の事故を想定した放射性物質の拡散シミュレーションが原子力規制委員会から発表された。
予測図をもとに原発周辺自治体により事故を想定した被ばく防止対策が検討されていくと思われるが、玄海と川内で拡散予測が真逆だったり、一部で16方位が1方位ずれていたりと、元になった風配図を読み間違うという初歩的ミスが見つかって、関係自治体に混乱を起こしている。 続きを読む -
2012/12/07
COP18参戦記 day3 (12月4日 火曜日)
今日はCOP会場には行かず、以前からお願いしていたラス・ラファン(Ras Laffan)工業都市内のLNG基地を見学してきた。朝7時にドーハのホテルを出発、車で1時間強北上したところにラス・ラファン工業都市はある。 続きを読む
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2012/12/06
COP18参戦記 day2 (12月3日 月曜日)
国連気候変動枠組み交渉の現場に久しぶりに訪れて驚いた事。紙の配布物が無い。
つい2年前、メキシコのカンクンで開催されたCOP16当時はまだ、交渉のスケジュールやドラフト案など「紙」が主体であり、朝会場に着くと同時にドキュメントセンターに突進して仲間の分も含めて配布物を確保するのが常だった。それが今や「Paper Smart」。 続きを読む -
2012/12/06
対ウィンドファーム戦争
本日のSunday Times を開けたら、自治体の対ウィンドファーム戦争(Councils in War against Wind Farms)という物騒なタイトルが目に入った。11月23日に連立与党内でエネルギー政策に関する妥協が成立し、再生可能エネルギーに対する間接補助総額の上限レベルが現在の26.5億ポンドから2020年には76.5億ポンドに引き上げることが合意されたが、 続きを読む
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2012/12/05
COP18参戦記 day1 (12月2日 日曜日)
今後ともエネルギー政策において、気候変動が大きな制約要因であり続けることは間違いない。国際環境経済研究所では、従前と変わることなく気候変動問題を重要なテーマとして様々な提言や情報提供を行っていく方針であり、その参考とするため気候変動問題に関する最も大きな会議である国連気候変動枠組み条約交渉(COP18/MOP8)に参加させていただいた。 続きを読む
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2012/12/05
COP18現地報告1 -記者泣かせの「裏年」-
気候変動枠組条約締約国会合(COP)がカタール・ドーハで開かれている。
COPには表年、裏年のようなものがある。交渉対象がシンボリックなものであって世間の注目を集め、各国首脳が関心を示すような会議になるのが「表年」だ。京都議定書が署名されたCOP3や各国批准の流れが決まったCOP7(マラケシュ)、ここ最近ではオバマ大統領が参加し、日本からは新たに政権の座に就いた鳩山総理が温室効果ガス▲25%削減構想を引っさげて現地に赴いたCOP15(コペンハーゲン)などがある。 続きを読む -
2012/12/05
ドイツの電力事情⑥ -供給力確保への苦闘-
太陽光・風力など、出力が不安定な電源が大量導入された場合、送電網の整備等の系統安定化対策に加え、人間がコントロールできる安定的な調整電源の維持も必要となる。
欧州各国では電力自由化が進んでおり、その一方で、再生可能エネルギーの導入を政策的に進めてきた。再エネ導入量の増加に伴って、ガスを中心とする火力発電所の稼働率が低下するに伴い、事業者は採算性の悪化した設備を廃止する動きを強めざるを得ない。 続きを読む -
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2012/12/04
ドイツの電力事情⑤ -送電網整備の遅れが他国の迷惑に-
太陽光、風力などの再生可能エネルギーは基本的に「太陽任せ、風任せ」であり、間欠性電源と言われる。間欠性電源の導入量が増えるとそれまで見えなかった(正確には、見てこなかった)コストや問題が発生する。その一つが、主として風力発電の大量導入に伴って必要な送電線の整備、もう一つが、太陽と風のご機嫌が悪かった時に備えて人間がコントロールできる発電設備の維持である。ドイツでは固定価格買取制度によって、再エネの大量導入には成功したが、それによってもたらされるこの二つの問題も顕在化してきている。 続きを読む