日本版再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)について
小野 透
(一社)日本鉄鋼連盟 特別顧問/日鉄テクノロジー株式会社 顧問
3.結論
- 1)
- ドイツ・スペインをモデルとした今般のFIT制度は、近い将来国内の電気の使用者に過大な負担を長期にわたって負わせることになることが明らかであり、できるだけ早期に、抜本的な制度改正、または制度の廃止を検討すべきである。
- 2)
- FITによって、国際競争力を持つ新たな産業が国内に育成される可能性は低い。
- 3)
- ただでさえ国際的に見て高い電力料金に加えて、3.11震災以降は、電力供給の不安定化、原子力停止に伴う電気料金の上昇、更には火力発電の燃料に対する石油石炭税の引き上げ(本年10月施行)など、これからの電気の供給/料金を取り巻く状況は、国民生活に大きな影を落とすとともに、国内産業、特に製造業の国内での生産活動維持を更に困難なものとしている。係る状況の中で、本当に今、更なる電気料金の上昇につながるFIT制度を施行すべきなのか今一度考えなおすべきである。