米国グリーン・ニューディール政策破たんの実相


国際環境経済研究所前所長

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市場原理を無視した超党派の要求が政策を歪める

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙でロウCEOは、「米国の共和党、民主党の主要メンバーは、だれも電力市場に秩序があるとは信じていない」と語っている。ときには、市場原理を否定するような要求が、超党派で行われてきたという。その例として、バージニア州知事(共和党)とメリーランド州知事(民主党)が「もっとオフショアの風力が必要」という点で合意したことを挙げている。

 ロウ氏は、「洋上風力発電は最もコストの高い2つの発電方式のうちの一つ。(もう一方の)太陽光と比べると、数千MW(メガワット)単位で設置されるため、本当に金を捨てるようなもの」と指摘する。つまり、経済合理性の観点からだけでは選択肢になりえず、ここには政治的な思惑があったことを示唆している。記事中、ロウ氏は「一方で市場原理を求めつつ、他方で政治的な嗜好から技術選択をして助成を行うということは、市場に歪みをもたらす。政治的な選択よりも市場での秩序ある規制を求めるべきだ」と結論づけている。

 もちろん、電力が環境や安全保障などに与える影響を考えれば、コストの観点だけではなく、さまざまな社会的価値を考慮に入れて適切な規制を設けなければならない。しかし、規制が合理的な範囲を超えて行き過ぎたものになれば、規制によって実現される健康や安全などの社会的厚生よりも、規制をクリアするためのコストが過度に大きくなる。この例として、ロウCEOは、石炭火力に対する、米環境保護庁(EPA)による輻輳的な大気汚染物質の排出規制強化の動きを指摘している。

 過度の規制は経済活動に悪影響を与える結果になり、結局のところ、需要家自身に跳ね返ってくることに注意しなければならない。ロウCEOの指摘は日本の政策決定者にとっても心に留めておくべきものではないだろうか。

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