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執筆者:久保田 宏

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東京工業大学名誉教授

  • 2013/06/27

    原子力を含む国内エネルギー供給のベストミックスは幻想に過ぎない
    石炭火力を当面利用すれば、経済的な負担のない原発代替は可能だ

    電源構成の最適比率(ベストミックス)には科学技術的な根拠が存在しない

     いま、原発の存廃の議論のなかで、電源構成のベストミックスが盛んに言われている。それは、日本経済を支えている電力について、その将来の供給の安定化と生産コストの最小化などを図るために、在来の水力発電や火力発電用の化石燃料に加え、国産資源として位置付けられた原子力や再生可能エネルギー(再エネ、ただし現用の水力を除く)を最適な構成比率で求めて、それを国のエネルギー政策のなかで追求すべきだとの主張である。一見、もっともな主張のように聞こえる。 続きを読む

  • 2013/05/13

    「電力システム改革」は「電力の全面自由化」
    その前提条件は、再生可能エネルギー固定価格買取(FIT)制度の優先廃止でなければならない

     4月2日、安倍内閣の「電力システム改革」を進める方針が閣議決定された。政府は、この電力システム改革を次の3段階で進めるとしている(3 日の朝日新聞の朝刊による)。
     ① 2015年めど; 広域系統運用機関の創設(地域を超えて電力を融通できるようにする)、② 16 年めど;電力の小売りの全面自由化(家庭や企業に自然エネルギーを売れるようにする)、③ 18~20年めど;発送電分離(電力会社の送配電部門を別会社にする)。 続きを読む

  • 2013/04/09

    メタンハイドレートの試掘に成功
    メガソーラーのためにFIT 制度を適用する必要性は完全に無くなった

     3月12 日、愛知県の渥美半島沖の海底で、「燃える氷」と呼ばれる「メタンハイドレート」からメタンガスを取り出すことに世界で初めて成功したことが報じられた。翌13 日の朝日新聞の朝刊にも、待望の「国産燃料」に大きな期待が膨らんだとして、この国産エネルギー資源の開発技術の概要が紹介されていた。 続きを読む

  • 2012/12/03

    再生可能エネルギー全量固定価格買取(FIT)制度の正しい理解のために

     経済産業省資源エネルギー庁は、「固定価格買取制度の開始後の状況について(9月末時点)」を発表した。今年(2012年)の4月から9月までに約91.2万kWの設備が運転を開始し、その9割以上が太陽光発電で、さらに今年度後半にかけて大規模なメガソーラが複数運転を開始する予定であるとした上で、9月末時点で認定を受けた新規設備は約178万kWと“順調な滑り出しだ”としている。 続きを読む

  • 2012/10/31

    国民の省エネ意欲を削ぐだけの環境税
    「エコ神話」の産物としての環境税の論理矛盾を突く

     今年(2012年)の10月1日、環境税が施行された。この環境税は、民主党政権発足後の鳩山25%のCO2削減の国際公約を実行するために、その法案化が図られてきた地球温暖化対策基本法(以下温対法)の3本柱の一つであった。しかし、この温対法の法案化は、その後の首相の相次ぐ交代で、日の目を見ることなく終わろうとしている。 続きを読む

  • 2012/10/10

    太陽光発電は「再生不可能」である(改訂版)
    科学の原理を無視して進められる「革新的エネルギー・環境戦略」の根本的な見直しを求める

    改訂原稿への差し替えをお願いした理由について

     私の論文;“太陽光発電は「再生不可能」である”について、ツイッター上で、“再生可能の条件が産総研のHPの記述と矛盾している”とのご指摘を受けました。
     確かに、いま、太陽光発電を含めた自然エネルギーからつくられる再生可能エネルギーが持続可能な社会のエネルギー源となると当然のように言われています。しかし、再生可能エネルギーが、再生可能であるためには、その使用期間に一定の制約(寿命)のある再生可能エネルギー生産設備の再生(更新)のために使用されるエネルギーが100 % 再生可能エネルギーで賄われなければなりません。ところが、実際には、このエネルギー生産設備更新のためには、設備の製造・使用に係わる労働力や設備材料としての地球資源の供給など、再生可能エネルギーでは賄うことのできないエネルギーや物質(資源)が必要になります。したがって、このような設備で生産されなければならない再生可能エネルギーは、科学的に見て、「再生可能」とは言えません。結局は、現状で現代文明社会のエネルギー源の主体を担っている化石燃料の代替として、その消費を抑え、それをできるだけ長持ちさせる働きを持つと考えるべきであります。このように考えますと、再生可能エネルギーの利用に当たっては、その生産量から、この生産設備の更新に伴うエネルギー消費量を差し引いた「自然エネルギーの有効利用の比率」ができるだけ大きいもの、すなわち、エネルギー変換効率の良いものが選択・使用される必要があります。私の科学的な解析結果によると、残念ながら、太陽光発電は、この「自然エネルギー有効利用比率」の値が、風力、中小水力、地熱などの再生可能エネルギーの生産方式に比べて、余りにも小さく、非常に効率の悪いエネルギー生産方策と言わざるを得ません。
     以上が、いま、原発事故を契機として問題になっている原発代替のエネルギーとして、今年の7月から施行されるようになった「再生可能エネルギーの全量固定価格買取(FIT)制度」のもとで国民に大きな経済的な負担をかけることで、その導入が図られている再生可能エネルギー、その中の主体を占めている太陽光発電の実態です。いずれは枯渇する化石燃料をできるだけ長持ちさせるために「自然エネルギーの変換による再生可能エネルギー」を使用しなければならないとしても、それは太陽光発電ではないはずです。にも拘わらず、最近、FIT制度の施行により、企業等によるメガソーラーの大幅な導入計画が進められていると報道されています。それは、太陽光発電に対して国により設定された高い固定買取価格42円/kWhであれば、この発電が営利事業として成立するからです。この営業利益は、国民の生活と産業の維持のために欠かすことのできない市販電力の世界一高い料金を、さらに押し上げることによって賄われます。結果として、国民生活と産業に大きな困難をもたらし、また、現状でも低迷している日本経済をさらなる苦境に陥れることになります。このような主旨で書かれた元原稿ですが、今回、ツイッターの方から上記のようなご指摘を受けて、読み返してみますと、私の再生可能エネルギーが科学的にみて「再生不可能」であるとする主張が必ずしも判り易い形で記述されているとは言えないこと、また自然エネルギー種類別の再生可能エネルギー利用効率の定量的な比較の記述に不備があることなどを見出しました。したがいまして、先日アップされた元原稿の主旨を皆さんに正しく理解していただくために、元原稿の再生可能エネルギーとしての太陽光発電が「再生不可能」であることの説明の部分にやや大幅な改訂を加えた新たな原稿を作成し、これを元原稿と差し替えていただくことを国際環境経済研究所編集担当にお願いした次第です。
     この改訂原稿について、改めて、ご検討、ご批判いただければ幸いです。

    東京工業大学名誉教授  久保田 宏 

    なお、改訂原稿は、全文PDF で提示させていただきます。

    改訂原稿全文(PDF)

  • 2012/08/28

    余りにも理不尽な再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度
    この制度の廃止を強く訴える

    地球温暖化対策として政治の要請により進められるようになった FIT 制度

     この(2012年)7月から実施されるようになった再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度(以下、FIT制度と略記)を、最近、小野は、厳しく批判している 続きを読む

  • 2012/08/18

    新しいエネルギー政策における安全保障と自給率の限界
    原子力と自然エネルギーはともにエネルギー自給の目的には貢献しない

     東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島原発と略記)の事故の起こる前(2010年)に制定された旧エネルギー基本計画(文献1参照)のなかで、原子力は国産エネルギーとして位置づけられ、エネルギー資源の全量に近い量を輸入に頼らなければならない日本において、エネルギーの安全保障のために、重要な役割を果たすとされてきた。 続きを読む

  • 2012/07/27

    エネルギー政策における「エネルギー源のベストミックス」
    その中に、当面、自然エネルギーは入ってこない

     エネルギーの「ベストミックス」とは、エネルギー政策におけるエネルギー源の多様化の中でのベストな選択の比率とされている。いま、原発事故後のエネルギー政策の見直しで中心的な課題となっている原発電力比率の選択の問題で、政府の提示する2030年時点における原発比率の3種の選択肢案についても、表1に示すように、各原発比率の値に対して、自然エネルギーの比率、および残りの火力発電の比率の目標値が与えられている。 続きを読む

  • 2012/07/17

    余りにも非常識な原発比率の選択肢案の評価
    自然エネルギーの利用を原発廃止のための条件とすべきでない

     いま、福島原発事故以後の新しいエネルギー政策を創るなかで、政府は、原発の位置づけを発電量の比率の値で表わして、その目標値を決めようとしている。6月28 日、政府のエネルギー・環境会議が、2030年時点における原発比率(国内発電量合計の中の原子力の比率)について、図 に示した3つの選択肢案を、付表に示す評価データとともに政府案として発表した。 続きを読む

  • 2012/07/06

    原発電力の代替、当面は石炭火力でなければならない
    エコ神話の崩壊が、エネルギー政策の変換を迫る

    原発電力の代替、当面は石炭火力

     いま、脱原発を叫ぶ人々は、原発代替電力は、「自然エネルギー(国産の再生可能エネルギー)による発電」だとしている。しかし、「自然エネルギー」は、少なくとも、現状では、原発の代替にならない。政府は、これを逆用して、「原発がなければ国民の生活が成り立たない(野田首相)」として、原発の温存を図ろうとしている 続きを読む