執筆者:飯沼 芳樹

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海外電力調査会調査部長

  • 2011/10/20

    発送電分離問題の再考①
    10年経過も効果が見えない米国ISO/RTO

     発送電分離問題が東日本大震災を契機として再び注目されている。だが1980年代半ばから、欧米の電気事業再編を含め自由化動向をウオッチしてきた筆者としては、なぜ今、発送電分離なのか不可解な点が多い。わが国では、すでに第4次にわたる制度改革の下で、すでに機能分離されているが、このような形態になった背景には、わが国特有の理由がある。同様に、分離形態は様々であるが、欧米諸国においてもそれぞれの形態に至った独特の背景がある。

     本稿では、わが国同様、民間電気事業者が中心となっている米国における発送電分離形態の1事例である地域送電組織(RTO: Regional Transmission Organization)について評価してみたい。今後、①最もドラスティックに国営事業を民営化し、発送電分離した英国の事例、②EU(欧州連合)の送電事業の所有権分離案にあくまで反対した独・仏など、それぞれの特質を紹介する予定である。今後のわが国における電気制度改革に関わる客観的議論に資すれば幸いである。なお、本稿ではRTOとISO(Independent System Operator)を同義語として使う。