猛暑・豪雨の地球温暖化との関係のホントとウソ


キヤノングローバル戦略研究所/IPCC1.5度特別報告書代表執筆者


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 今年はどうやら猛暑で豪雨が多いらしい(本当は統計的に事後確認しなければならないけれど、よく聞かれるので、早々にこの記事を書くことにした)。ではこれは、温暖化のせいか? このままだと東京は水没するのか? それを防止するためにはCO2を8割削減しなければならないのか? 以下、何がホントで何がウソかを考える。

地球温暖化すれば猛暑が増える

 これはホントである。図1a)はその概念図。気温を横軸にして、頻度を縦軸にする(ここでの気温は、日平均気温、年平均気温、日最高気温など何でもよい)。地球温暖化により、はじめ実曲線で分布していたものが、点曲線のようにシフトしたとしよう。ある一定の温度より高くなる頻度(赤く塗ってある裾の部分)は、少し気温の平均値が高くなっただけで、かなり大きくなる。このことがよく、200年に一度の事象が、100年に一度になったり、50年に一度になったりする、と表現される。


図1 気候変動と異常気象の関係
IPCC SREX report, Figure SPM.3 http://www.ipcc.ch/report/srex/

けれども、寒い日は減るので、異常気象が増えるとは言えない

 同じ図1a)から分かることは、地球温暖化によって異常に寒い日は減る。だから、暑い方の増大と寒い方の減少が差し引きされて、異常気象は全体として増えるとは限らない。なお図1b)や図1c)のように地球温暖化によって頻度分布の形が大きく変わるならばこの限りではないが、そこまで精密な議論は今のところ出来ていないと思う。

我々は温度上昇に適応してきた

 既に詳しく書いたことがあるけれども(「東京は3度温暖化したが何か困ったか?」)、東京の温度は過去100年で3度上がっている(図2)。都市熱で2度、地球温暖化で1度で合計3度である。だが我々は、何不自由なく暮らしている。平均寿命は伸びているし、都心で快適に暮らしている高齢者は沢山いる。この程度の温度上昇であれば、我々は単に慣れてしまうのだ。だから、今後温度上昇があるといっても、それほど怖れることはない。更に言えば、冬の寒さはやわらぎ、だいぶ暮らしやすくなったであろう。


図2 東京の温度は過去100年で3度上昇した

我々は様々な温度に適応して生きている

 人間は4万年前にアフリカを出て以来、さまざまな気候に適応して生きてきた。日本国内でも、県によって温度は随分と違う(図3)。世界だと、この開きはもっと大きくなる(図4)。
 温度が少々上がったからといって、人が住めなくなることはない。東京の今の年平均気温は15. 8℃である。仮にこれがあと3度上がれば 18. 8℃になる。これは現在の鹿児島の18. 6℃に近い。ところが世界には20℃以上のところは沢山ある。いま長寿の世界 1 位と2 位の国は香港とシンガポールで、どちらも大変に暑い。ベルリンは過去100年で2度温暖化したがそれでも東京より7度も低い。もっと暖かくなった方が住み易そうだ。



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