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ドイツの電力事情⑰ 再エネ大量導入下における供給力確保策


国際環境経済研究所理事・主席研究員


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<容量メカニズムあれこれ>

 電気の供給能力(発電容量)に対して何らかの対価が支払われる仕組みを容量メカニズムという。容量メカニズムにはいくつかの類型がある。

平成26年1月20日 	第5回 制度設計ワーキンググループ 事務局提出資料注4)より

平成26年1月20日
第5回 制度設計ワーキンググループ 事務局提出資料注4)より

 ドイツはこの中で容量リザーブ(戦略的予備力)と言われる施策を選択した。主な違いとしては、容量市場は発電所の新設を促す効果があるが、容量リザーブはその名の通り、現在ある発電設備容量を保存するだけ、すなわち廃止を阻止する効果しかない。卸電力市場だけに任せておくと固定費が回収できず廃止されてしまう恐れのある発電所の中から、その廃止が国の安定供給上問題となる発電所について、系統運用事業者が資金を供給してそれを維持するという制度である。ドイツが後者を選択した理由として、7月13日付電気新聞は、ドイツは再生可能エネルギーの導入拡大により、発電設備容量としては過剰気味であるため、容量リザーブが選択されたのであろうとの海外電力調査会関係者のコメントを紹介している。

 ドイツ連邦エネルギー経済省のバーケ次官は、この市場改革案を容量市場よりも小さいコスト負担で安定供給を確保できること、イノベーションへのインセンティブを付与し、再エネの系統連系をより拡大するであろうとコメントしたと報じられる。容量市場の代わりに彼らが電源投資促進策として採ろうとしているのは、「電力市場における自由な価格形成を保証」である。どういうことかと言えば、需給が逼迫したときに、卸電力市場価格が、普段の何十倍、何百倍といった水準になること(プライススパイクと呼ばれる)を許容しようというものである。これならば、短い稼働時間であっても投資回収することは可能とのことである。しかし、再エネが大量に導入され、普段の市場価格が低下している中では、プライススパイクはより高く、多頻度であることが必要だ。規制当局がそれだけの電力価格高騰に対して何ら介入をしないことは政治的な批判の対象となりやすい。少なくとも我が国では現実的にありえないだろう。
 今後8月24日までこのホワイトペーパーに対するステークホルダーからのコメントを受け付け、10月には法案を作成、来春までには立法手続きがなされるとの見通しだ。

注4)
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system/seido_sekkei_wg/pdf/005_04_04.pdf

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