2014年6月のアーカイブ

  • 2014/06/26

    ドイツの電力事情⑫ ”脱原発”の経緯とコスト(前編)

     東日本大震災をきっかけとした東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島原子力発電所事故)は、海を超え欧州・ドイツのエネルギー政策に大きな影響を与えた。事故発生直後の2011年3月15日、ドイツのメルケル首相は、ドイツ国内にある、1980年以前に稼働を開始した7基と火災事故により2007年から停止していた1基の計8基の原子力発電所を3ヶ月間一時停止させることを発表したのである。 続きを読む

  • 2014/06/25

    環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その4)
    法制化10年経過後の課題①

     当初の土壌汚染対策法が施行されてから11年、2010年4月の改正法施行からから4年経過し、国内の土壌汚染対策に関する課題が顕在化しつつあります。
     土壌汚染問題の大きな課題は、(1)軽微な土壌汚染に対しても過大な費用をかけた対策が講じられていること、(2)土壌汚染の調査や対策が講じられているのは、不動産取引等の対象になるわずかな土地のみであり、深刻な汚染の把握や管理が進んでいないことが挙げられます。 続きを読む

  • 2014/06/24

    不思議の国のエネルギー論議

     先日、ロンドンの著名なシンクタンクが主催するハイレベルのフリーディスカッションに参加してきた。テーマはエネルギーを巡る4つの相克(Quadlilemma)である。4つの相克とはエネルギー安全保障、環境保全、国際競争力、エネルギーアクセスを指す。エネルギーの安定供給を図りながら、温室効果ガスも削減し、エネルギーコストを抑えて競争力を確保し、かつエネルギーアクセスを有していない人々(世界の人口の26%)へのエネルギー供給を確保していくことはミッション・インポッシブルに近い難題である。 続きを読む

  • 2014/06/20

    Power Purchase Agreement(電力購入契約)

     Power Purchase Agreement(電力購入契約)は、もともと米国で発電事業者が電力事業者に電力を卸供給する時に結ばれる契約であったが、最近では太陽光発電やコージェネレーションといった分散型電源からの電力を消費者に直接供給する時に利用される一種のファイナンス方式になっていて、FERC(連邦エネルギー規制委員会)もこれを規制の対象に入れているようだ。 続きを読む

  • 2014/06/19

    環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その3)
    日本の土壌汚染対策法の特徴

     土壌汚染対策法は、国民の健康保護を目的として2002年に制定され、2003年2月15日から施行されました。土壌汚染対策法は、以下のような特徴をもっています。 続きを読む

  • 2014/06/18

    欧州環境エネルギー補助金ガイドライン見直しをめぐって

     ブラッセルのシンクタンク Friends of Europe の主催するワークショップ 「Energy Subsidies: To be or not to be 」 に参加してきた。こうしたワークショップが開催されるには背景がある。 続きを読む

  • 2014/06/16

    環境物品の自由化交渉、日本は欧州産業界などと連携を
    福島事故は新たなビジネスチャンスもたらす可能性も

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2013年6月号からの転載)

     スイス・ジュネーブに拠点を置く国際シンクタンク、ICTSD(International Centre for Trade and Sustainable Development、貿易と持続可能な開発のための国際センター)のトップ、リカルド・メレンデス・オルティーズ所長が来日した。今回の style=”float:right;”来日は、国際環境経済研究所の菊川人吾主席研究員(ジュネーブ駐在)のアレンジで実現。オルティーズ所長は同研究所との意見交換会の後、本誌インタビューに応じてくれた。同セ style=”float:right;”ンターは、各国の通商政策決定者に働きかけ、持続可能な開発を推進することを目的に、中国などにも拠点を有するなどグローバルに活動している。来日の目的や、日本のエネルギー・環境問題に関する見解をうかがった。

    (インタビュアー・国際環境経済研究所理事 竹内純子)

    リカルド・メレンデス・オルティーズ
    リカルド・メレンデス・オルティーズ
    ICTSD(貿易と持続可能な開発のための国際センター)所長

    ―― ICTSDについて教えてください

     「ICTSDはスイス・ジュネーブを拠点にする国際シンクタンクで、貿易や持続性のある開発の分野で指導助言を行っています。私はかつて、コロンビア政府の通商交渉官を務めていたことがあり、気候変動などの環境や開発といった分野の国際交渉にも携わっていました。こうした経歴から、国際貿易、環境、持続可能な開発に関するシンクタンクであるICTSDを1996年に立ち上げました」

    ―― 訪日の目的は?

     「ICTSDの代表者として、主に貿易問題やクリーンエネルギーの技術について意見交換をするため日本に来ました。訪日の背景として、ダボス会議の機会に、日米やEU(欧州連合)、中国など14カ国が環境物品の自由化交渉を立ち上げていくことをアナウンスしたことが大きな要素となっています。今回、在ジュネーブ日本政府代表部や日本政府の力添えを得て、経済産業省、外務省、経団連など関係する産業界と会合を開催し、密接な意見交換をすることができました。環境と経済の両立を研究テーマとしている国際環境経済研究所との意見交換会も大変楽しみにしてやって来ました」

    ―― 日本のエネルギー・環境政策の現状をどうみていますか

     「福島での不幸な事故によって日本はいま、エネルギー問題でとても難しい状況に置かれています。しかし、これが日本のビジネスに新たなチャンスをもたらす可能性があります。日本は(原発の稼働停止に伴って)他の電源を活用しなくてはならず、エネルギーコストの上昇という経済の問題とともに、二酸化炭素(CO2)排出量削減という環境問題にも対応しなくてはいけません。とても難しい立場に置かれていますが、(それをどう克服し、新たなチャンスにつなげていくかという点で)非常に興味深い時期を迎えていると思います」

  • 2014/06/13

    人口減少社会における生活排水処理施設整備をどう進めるか

     今や人口減少・高齢化、さらには社会資本インフラの老朽化という社会情勢が、人口オーナスとして様々な分野に影響を及ぼしている。公共事業についても同様である。一般に、公共事業は実施前に費用と便益を見積もり、事業効率に基づいて評価される。便益は受益者数に比例することが多く、人口減少を将来の便益推計に盛り込むことが必要である。しかし、当初、ほとんどの事業が人口減少を考慮していなかったため、事業完成後に人口が減少し、便益の発現効果が得られず、非効率な事業へとつながりつつある。 続きを読む

  • 2014/06/12

    環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その2)
    諸外国で進む土壌汚染跡地の再開発と経済効果

     土壌汚染のある土地の汚染浄化と環境対策を進めながら、再開発を行うプロジェクトは、非常に経済効果が高く、このような環境保全と両立した地域再生が諸外国で進められています。 続きを読む

  • 2014/06/11

    京都議定書の経験を踏まえた新たな国際枠組みについて

    1.京都議定書と温室効果ガスの削減

     1990年から2010年にかけて世界の温室効果ガスの年間排出量は100億tCO2e以上増えている。

    (1) 京都議定書が見逃したモントリオール議定書フロンの大量排出
     まず、京都議定書は全ての温室効果ガスを扱っておらず、特に排出規制のないモントリオール議定書のフロン(CFC,HCFC)の大量排出を20年近く放置してきている。既に2005年にIPCCとTEAP(モントリオール議定書の技術・経済評価パネル)が出したSpecial reportで、冷蔵・冷凍・空調機器等の機器の中に含まれているフロンが世界全体で年間20億トンCO2eから25億トンCO2e放出されているとしている。 続きを読む

  • 2014/06/10

    久しぶりのボン(その2)
    -省エネ専門家会合に出席-

     2日間の議論を踏まえ、14日午後のADP全体会合でソコナ・再エネ専門家会合ファシリテーターと共に結果報告を行った。私の報告の骨子は以下のとおりである。なお、UNFCCCのサイトでその時のサマリー全文及びウェブキャストで私の報告の模様が掲載されている。 続きを読む

  • 2014/06/09

    日本鉄鋼業が推進する技術移転の三本柱

     日本の鉄鋼業は、石油ショック以降今日に至る迄、製鉄所・工場内の生産プロセスにおける省エネルギーに心血を注いできた結果、世界最高水準の省エネ効率を達成し、今もこれを堅持している。またその過程で培った省エネ技術を他国の鉄鋼業に普及させること画世界全体の地球温暖化防止に役立つとの考えから、セクトラルアプローチの重要性を説き続けてきた。 続きを読む

  • 2014/06/06

    「大飯原発判決」これだけの誤り

    (産経新聞「正論」からの転載:2014年6月3日付)

     5月21日、大飯原発運転差し止め請求に対し福井地裁から原告請求認容の判決が言い渡された。この判決には多くの問題がある。 続きを読む

  • 2014/06/05

    久しぶりのボン(その1)
    -省エネ専門家会合に出席-

     2014年2月半ば頃、UNFCCC(気候変動枠組み条約)事務局の旧知の友人から一通のメールが届いた。3月半ばに開催されるADP(ダーバンプラットフォーム特別作業部会)において省エネと再生可能エネルギーの専門家会合を開催するが、そのファシリテーターになってくれないかという依頼である。 続きを読む

  • 2014/06/03

    環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その1)
    国内の優先テーマと土壌汚染問題の関連性

     2020年の東京オリンピック開催に向けて、施設の解体・基礎工事や建替え工事等が始まろうとしています。東京都内では国立競技場をはじめとして大規模な建替え工事や新規の建設工事が進められる予定になっています。
     都内や首都圏に限らず、国内の産業構造の変化に伴い、工場の統廃合や閉鎖も続いており、中小企業経営者の世代交代に伴う事業継承が進められる時期となっています。 続きを読む

  • 2014/06/02

    中国に環境NGOがあるの?

     4/22付の中国の連合鋼鉄HPによると、NGO 5団体が4/21「河北省のスモッグ防止への国民監督」と題するレポートを発表したとある。

     それによると、山東省、河北省、天津市、北京市の4省市を合わせた石炭消費量は計8億トンあり、うち火力発電で3億トン、残り5億トンは鉄鋼などの企業や生活用である。 続きを読む