2013年5月のアーカイブ

  • 2013/05/31

    日本の沿岸海底に大容量高圧直流送電線を

     日本の電力供給網の周波数が東西でそれぞれ50ヘルツ、60ヘルツと異なり、系統網がいわば分断されているのは、歴史的に生まれた宿痾のようなものだ。その二つの周波数領域を現在120万キロワットの周波数変換設備(交・直・交変換)によって相互融通ができるようにはなっている。しかし、この融通規模は、東西の発電設備規模からみると極めて小さい。 続きを読む

  • 2013/05/30

    私的京都議定書始末記(その2)
    -初めてのボン、アンブレラ会合-

     初めて交渉官として参加したのは2000年6月にボンで開催された補助機関会合であった。補助機関会合は2週間にわたる長丁場の会合だが、確か、その時は資源エネルギー庁で別途の用務があり、1週目の週末から参加したと記憶している。会場はマリティムホテル。気候変動枠組み条約事務局がボンに置かれていることもあり、閣僚レベルのCOP会合以外、交渉会合の大部分はこのホテルで行われる。 続きを読む

  • 2013/05/29

    石炭・木質系バイオ混焼焚が日本を救う!
    -外貨流出防止と森の再生の道-

     昨年度の貿易収支は約7兆円の赤字である。円安の影響で化石燃料の輸入代金拡大により当面貿易収支は構造的赤字体質に陥った。一方補助金漬けの太陽光発電の大量導入により電気料金は今後益々上げざるを得ない。この構造的問題を緩和、解決する方策はないのか。 続きを読む

  • 2013/05/28

    私的京都議定書始末記(その1)
    -プロローグ-

     2013年1月、日本は京都議定書第1約束期間を終え、京都議定書上の削減約束を持たない状態に入った。この時を迎えて個人的にいささか感慨を覚える。私は2000年~2002年、2008年~現在まで気候変動交渉に参加し、これまで19回のCOP(気候変動枠組み条約締約国会合)のほぼ半分の9回に交渉官として参加してきた(昨年12月に開催されたのがCOP18なのに、19回というのは、2001年にCOP6再開会合が開催されたからだ)。 続きを読む

  • 2013/05/27

    GHGの真実-2
    GHGで見た適正な途上国支援のあり方とは?

    1.温室効果ガス(GHG)排出量で評価することの重要性

     前報では、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)のCO2 emissions from fuel combustion注1)に記載されている温室効果ガス(以下GHG)データを使用して、国別のGHG排出量を整理し、1990年と2010年の途上国と先進国の寄与を評価した。 続きを読む

  • 2013/05/24

    サッチャー元首相と気候変動

     4月8日、マーガレット・サッチャー元首相が亡くなった。それから4月17日の葬儀まで英国の新聞、テレビ、ラジオは彼女の生涯、業績についての報道であふれかえった。評者の立場によって彼女の評価は大きく異なるが、ウィンストン・チャーチルと並ぶ、英国の大宰相であったことは誰も異存のないところだろう。 続きを読む

  • 2013/05/23

    断熱の常識を超えた省エネ塗料“ガイナ”とは
    環境技術事例&インタビュー

     これから梅雨を迎え、梅雨を過ぎるとぐっと気温が上がって暑くなります。天候や気温に関係なく、できれば室内で一年中快適に過ごせれば心も体も軽くなりそうですね。そんな思いを実現させてくれるすごい塗料があると聞きつけました。外装に塗っただけで、夏の暑さや冬の寒さ、騒音、臭いなどのストレスを軽減し、快適な住環境を実現してくれ、一度塗れば10年経っても効果が持続するというのです。その名は、“ガイナ“。開発製造を行う日進産業(東京・板橋区蓮根)にさっそく伺いました。 続きを読む

  • 2013/05/22

    IEA勤務の思い出(4)

     「その1」で書いたように、国際機関勤務には様々な不安があったが、結果的に任期3年のところをIEA側の要請で1年延長し、4年間勤務することになった。「IEA勤務の思い出」を結ぶにあたって、「国際機関勤務の心得」じみたことについて思うところを記したい。

     第1に国際機関はマルチカルチャーな組織であり、日本の組織のような以心伝心は通用しないということだ。 続きを読む

  • 2013/05/21

    GHGの真実-1
    1990年の途上国の排出割合は本当に小さかったか?

    1.温室効果ガス排出量(GHG)の誤解

     世界の温室効果ガス(以下GHG)排出量として毎年、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)からエネルギー起源CO2の値が報告注1)されており、日本政府においても、世界のCO2排出量割合を算出する際に本データを使用している注2)。エネルギー起源CO2は、日本では、GHG排出量の約90%も占める。 続きを読む

  • 2013/05/20

    第12回(最終回)セメント協会生産・環境幹事会幹事長/住友大阪セメント株式会社取締役・専務執行役員 中尾 正文氏
    循環型社会への貢献、省エネ技術への挑戦

     第12回目にご登場いただくのは、セメント協会生産・環境幹事会幹事長/住友大阪セメント株式会社取締役・専務執行役員の中尾正文氏です。セメント産業による廃棄物受け入れによる循環型社会への貢献や地球温暖化対策のための方策、またさらなる技術革新について等、率直なご意見を聞きました。 続きを読む

  • 2013/05/17

    IEA勤務の思い出(3)
    -国別審査はなぜ有益か-

     前回は国別エネルギー政策審査がどのように行われるかをご紹介した。今回は、国別審査がなぜ有用かを論じたいが、その前に、思い出に残るエピソードを2つ、3つ紹介したい。

     国別審査の1つのハイライトは審査チーム内の議論であるが、ある国の再生可能エネルギー固定価格全量購入制度(FIT)をめぐってドイツ環境省出身の専門家と激しく議論したことを思い出す。 続きを読む

  • 2013/05/16

    容量市場設立に関わる技術的課題

     政府の電力システム改革専門委員会の報告書は、電力市場を全面自由化した際に市場全体として適切な供給予備力を維持するための仕組み(以下では「容量メカニズム」)を提案しており、その大枠は以下の通りである。 続きを読む

  • 2013/05/16

    IEA勤務の思い出(2)
    -国別審査はこう行われる-

     今回及び次回は、IEA事務局で私が担当した国別審査について紹介したい。OECDにおけるコア業務の1つは加盟国同士による政策審査(ピアレビュー)であり、経済政策、援助政策、エネルギー政策、環境政策等、多岐にわたるピアレビュープロセスが存在する。IEAも1974年の設立以来、国別エネルギー政策審査をコア・アクティビティの一つとしてきた。

     国別審査は文字通り、IEA事務局と加盟国の共同作業である。 続きを読む

  • 2013/05/15

    ドイツの電力事情⑨ ―供給力維持の「お値段」―

     以前、自由化を導入したドイツ、イタリア等欧州諸国における供給力確保に向けた苦闘をご紹介したが、そのコストが現実のものとして見えてきた。4月18日にReutersが報じたところによると、ドイツの連邦ネットワーク規制庁と送電事業者TenneTは、発電事業者E.ONが所有する天然ガス火力Irsching4号機、5号機の運用継続について交渉を行なっているという。 続きを読む

  • 2013/05/14

    自然エネルギーの出力変動を抑制する蓄電設備

     自然エネルギーからの発電には、水力、潮力やバイオマス発電にように、発電出力が安定しているものもあるが、いま世界的に急速な普及をしている風力発電と太陽光発電は、気候・天候の変化によって発電出力が大きく変動するために、それが接続されている送電系統の安定性を大なり小なり阻害する。その影響が大きすぎると送電が円滑に機能せず停電の可能性も出てくる。
     特に風力発電については、電気の需要が落ちる夜間に風が吹いて大量の発電をすることは当然予想できるところだ。 続きを読む

  • 2013/05/13

    電力自由化市場での発電所建設には社会主義が必要?

     自由化された電力市場では、夏場あるいは冬場の稼働率が高い時にしか利用されない発電設備を建設する投資家はいなくなり、結果老朽化が進み設備が廃棄されるにつれ、やがて設備が不足する事態になる。1年の一時期しか運転されない発電所では売電による収入が少なく、投資家が必要とする収益率を満たさないためだ。さらに問題は、発電所を建設しても長期間に亘りいつも確実に発電できる保証が得られないことだ。競争する他の電源の将来コストが予測できないために、他の電源よりコストが高くなれば、いつも市場で電気が売れるとは限らない。 続きを読む

  • 2013/05/13

    「電力システム改革」は「電力の全面自由化」
    その前提条件は、再生可能エネルギー固定価格買取(FIT)制度の優先廃止でなければならない

     4月2日、安倍内閣の「電力システム改革」を進める方針が閣議決定された。政府は、この電力システム改革を次の3段階で進めるとしている(3 日の朝日新聞の朝刊による)。
     ① 2015年めど; 広域系統運用機関の創設(地域を超えて電力を融通できるようにする)、② 16 年めど;電力の小売りの全面自由化(家庭や企業に自然エネルギーを売れるようにする)、③ 18~20年めど;発送電分離(電力会社の送配電部門を別会社にする)。 続きを読む

  • 2013/05/10

    書評:「朝日新聞記者が明かす経済ニュースの裏読み・深読み」(原 真人著)

     この本は、朝日新聞経済部で広く産業経済・金融・環境エネルギー問題などを取材してきた原真人現編集委員の手による経済問題の解説だ。著者が旬のトピックを扱ってブログや署名記事を読んでいつも感じることだが、本書も、複雑でかつ多面的な経済問題を、政治や社会の流れを踏まえながら、手際よく解説している。
     加えて、アカデミアやアナリストによる解説と異なる点は、こうした解説が豊富な現場取材によって得た情報によって裏打ちされているため、より立体的かつリアルな迫力を感じることができることだ。 続きを読む

  • 2013/05/10

    IEA勤務の思い出(1)

     本コラムで欧州のエネルギー環境政策について愚見を述べているが、そのバックグラウンドになっているのは、足掛け6年近くになる温暖化交渉の経験と4年にわたるパリの国際エネルギー機関(IEA)での勤務経験である。

     私が初めてIEAという国際機関に触れたのは1982年に通商産業省に入省し、資源エネルギー庁国際資源課(現・国際課)に配属されたときである。雑巾がけのような仕事を除けば、最初のサブスタンスのある仕事がIEAの出版物「天然ガス:2000年への展望(Natural Gas: Prospects to 2000)」と「世界のエネルギー展望(World Energy Outlook)」の和訳作業への参加であった。 続きを読む

  • 2013/05/09

    低炭素社会実行計画(一般社団法人 日本経済団体連合会)

     経団連は、京都議定書採択前から自主行動計画を推進し、着実な成果を上げてきた。自主行動計画の中核を担う産業・エネルギー転換部門34業種からの2011年度のCO2排出量は、90年度比10.1%減少した。また、主要産業のエネルギー効率は世界最高水準を達成しており、さらなる削減余地は非常に縮小した。一方、家庭、業務等の部門からの排出量は90年度比で5割程度増えており、国内の温暖化対策にとって、家庭、業務に関する対策が大きな課題となっている。 続きを読む

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