電力供給を支える現場力③

-東北電力 原町火力発電所復旧の奇跡-


国際環境経済研究所理事・主席研究員

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<震災後2年の原町火力発電所を訪れる>

 東北電力株式会社原町火力発電所を訪れたのは、奇しくも東日本大震災からちょうど2年経った3月12日であった。前泊した仙台市から車で約2時間。車窓から見て取れるのはわずかではあるが、津波の爪痕が残る家屋や稲作を始められない田んぼなど、震災からの復興がまだ道半ばであることが感じられ、申し訳なさとやるせなさに襲われる。
 東日本大震災により、東北電力株式会社は発電設備の容量にして約半分が被災したが、その中でも最も甚大な被害を受けたのが原町火力発電所であったという。

 震災から半年後の2011年9月、仙台に住む友人を見舞った折に仙台火力発電所周辺を訪れたことがあり、津波の爪痕の深さに言葉を失った。今回、それ以上の被害を受けた場所と聞くと足を踏み入れるのが恐ろしくなったが、到着した原町火力発電所は既に何事もなかったかのように整然としたたたずまいで、既に安定的な試験運転の最中であった。しかし当時の状況は、津波で浸水したという表現に留まる被害ではなく、「波にぶち抜かれた幽霊屋敷」、「特撮の映画を見ているとしか思えなかった」そうだ。

被災直後のタービン本館1階