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東北経済復興と地球温暖化


国際環境経済研究所理事長


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地球温暖化とエネルギーセキュリティーのバランス

 経済活動を行ううえで、「地球温暖化」と「エネルギーセキュリティー」は車の両輪のように重要だが、昨今は「地球温暖化」に重心が傾いていた。電力の供給面では、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の発生抑制の観点から、原発や新エネルギーの増加と石炭などの火力発電の低下が志向されていた。

 2002年、我が国が京都議定書を批准するにあたって、「地球温暖化大綱」がまとめられた。当時、私は日本経済団体連合会の環境安全委員会に置かれた温暖化対策ワーキンググループの主査をしており、産業界の対場から政府関係者と随分議論したが、「大綱」には、以下のように原発増設が大きく謳われた。

 「135万kW級の原子力発電所1基当たりの二酸化炭素削減効果は、石炭火力を代替した場合、1990年度のエネルギー起源の二酸化炭素排出量の約0.7%に相当するほど大きなものであり、引き続き増加するエネルギー需要を満たしつつ、我が国の削減目標を達成するためには、原子力発電所の新増設が不可欠である・・・(中略)今後、2010年度までの間に原子力発電電力量を2000年度と比較して約3割増加する事を目指した原子力発電所の新増設が必要である」

 今回の原発事故をきっかけに、「地球温暖化」の観点からは、「原発の替わりに自然エネルギーを」という議論が出てくるだろう。一方、「エネルギーセキュリティー」の観点から考えると、天然ガス、石炭、副生ガスを使った火力発電が求められる。特に、産業界は従来から、コンパクトで燃焼効率の良い石炭やガス火力、回収エネルギーを有効利用した発電を自家使用するとともに、IPP(独立系発電事業者)等として電力会社に供給してきた。

 今回のような電力の供給不足時には、産業界からの電力供給も求められる。しかし、新たな電源開発には環境面等を含む規制緩和が必要だ。

 今後は、「地球温暖化」と「エネルギーセキュリティー」の両方に軸足を置き、現実的でバランスのとれた議論が望まれる。また、「2020年までに温室効果ガス25%削減という日本の温暖化目標」に関しても、「3.11以降の日本経済の復興シナリオ」を踏まえて見直していく必要があるだろう。

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