トランプ政権のCOPからの離脱はなぜ正しい選択なのか
スティーブ・ユール
国立エネルギー分析センター 客員研究員
邦訳 杉山大志
著 スティーブ・ユール、国立エネルギー分析センター客員研究員。
本記事はSteve Eule, Donald Trump’s COP Out 2026年1月15日
https://www.realclearenergy.org/articles/2026/01/15/donald_trumps_cop_out_1158800.html
を、許可を得て邦訳したものである。
この記事は、RealClearEnergyで初出され、RealClearWireを通じて提供された。
スティーブ・D・ユールは30年以上にわたり、エネルギー・環境政策に関する助言と執筆活動に従事してきた。その経歴には、上院エネルギー天然資源委員会、下院科学委員会、エネルギー省、米国商工会議所グローバルエネルギー研究所(GEI)での勤務が含まれる。キャリア初期にはエネルギー情報局のコンサルタントも務めた。GEI在籍時には「米国エネルギー安全保障リスク指数」および「国際エネルギー安全保障リスク指数」の開発を主導。その研究成果は広く発表され、上下両院の委員会においてエネルギー・気候問題に関する証言も行っている。ジョージ・ワシントン大学で修士号、サザンコネチカット州立大学で学士号を取得。
トランプ大統領が、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)からの米国の脱退を決定した。ずいぶんと時間がかかったものだ。
1992年10月にジョージ・ブッシュ大統領が署名し、上院で満場一致で批准されたこの条約は、その大部分がエネルギーに由来する温室効果ガスの排出を制限することで、「気候システムに対する危険な人為的干渉」を回避することを目的としている。
UNFCCCは当初から管理不能な混乱状態にあった。条約から派生した京都議定書、コペンハーゲン合意、パリ協定は保守派の激しい批判の的となってきたが、これらの合意はUNFCCCの多くの欠陥を増幅させるに過ぎなかった。途上国と先進国を対立させ、非現実的な期待を生み出し、官僚的な「解決策」を推進し、資金の無駄遣いとなってきた。
UNFCCCは「共通だが差異のある責任」と「歴史的責任」の原則に基づき、先進国と途上国間の明確かつ固定的な役割分担を規定している。これは実際には、途上国にはほとんど義務がなく、その行動は主に先進国からの財政支援に依存することを意味する。
しかしこの条約は、30年前の世界像を反映しており、今日の世界を反映していない。署名国は、途上国が永遠に貧しいままである筈がないと気づくことが出来なかった。
1992年以降、中国の経済は1000%以上成長し、排出量は250%以上増加した。今や世界第2位の経済大国であり、最大の温室効果ガス排出国である。にもかかわらず、UNFCCCの視点では依然として「途上国」と見なされている。
中国だけではない。シンガポール、韓国、サウジアラビア、カタールもUNFCCCでは途上国扱いだ。条約下でその地位を変更する道は閉ざされている。
貧しい国々はただ便乗している。気候変動対策にはほとんど関心がなく、当然ながら気候よりも経済発展と貧困撲滅を優先している。化石燃料で進歩を推進することに積極的だ。
実際のところ、条約が約束した成果である「エネルギー転換」は幻影に終わった。国際エネルギー機関のデータによれば、1992年以降、世界のエネルギー需要は76%も急増した。同期間にエネルギー消費単位当たりの炭素排出量はわずか3%減少したに過ぎず、エネルギー由来のCO2排出量は71%も増加した。
それでもなお、世界では約7億5000万人が満足に電力にアクセスできていない。電力は国家の人間福祉を示す最も優れた指標である。特にアジアやアフリカの一部では、今後何年にもわたり石炭が発電の主要燃料であり続けるだろう。豊かな経済はクリーンな経済である。
UNFCCCにも欺瞞とグリーンウォッシュが蔓延している。パリ協定を例にとろう。同協定は「産業革命前比で2℃を大幅に下回る水準に」地球平均気温の上昇を抑制し、「1.5℃に抑える努力を追求する」ことを求めている。この条約は、これらの温度目標が世界の排出量にとって何を意味するかを定義していないが、国連は現在、それらが「2030年までに排出量を45%削減し、2050年までにネットゼロを達成する必要がある」ことを意味すると述べている。だがこれは締約国が合意したものではない。
実際、締約国は2050年までのネットゼロ排出を含む具体的な排出目標とタイムテーブルの草案を明確に拒否した。なぜなら、そのような目標が達成不可能であることを十分承知していたからだ。条約における温度に関する文言は、単なる環境版ロールシャッハテストに過ぎない。
気候危機の主張とは矛盾して、UNFCCCの作業はカタツムリの歩みだ——その結果を待つ価値はない。例えば、パリ協定の国際炭素取引規定を実施する文言を締約国が交渉するのに9年を要した。その同じ締約国が、5年以内に世界の排出量を40~45%削減するよう促している。誰が誰をからかっているのか?
これに加え、毎年開催される「COP」会議では、米国は、過剰なファイナンスの要求や、知的財産保護の弱体化、気候賠償を支払えという要求、肉食廃止の呼びかけ、その他のおかしな提案に抵抗せねばならない。
しかしUNFCCCとの決別を最も強く正当化する根拠は、パリ会議当時のUNFCCC事務局長であるクリスティアナ・フィゲレスが率直に語った言葉に見て取れる。「人類史上初めて、私たちは意図的に…少なくとも150年間にわたり産業革命以降を支配してきた経済発展モデルを変えるという課題に自ら取り組んでいる」。こんなことは、ブッシュ大統領が署名し、上院が批准した内容ではない。
米国は、気候問題なるものに対処するには不適切なプロセスに、あまりにも多くの政治的・財政的資本を投じてきた。このプロセスはしばしば米国の利益や価値観に反する働きをする。実際、米国が中国と人工知能競争を繰り広げている現在——この競争は手頃で信頼できるエネルギーへのアクセスによって形作られている——UNFCCCは高くつく邪魔者である。
我々は完全に離脱した。













