カーボンニュートラルに向けて企業人は何ができるのか?
― CNは一日にしてならず ―
小谷 勝彦
国際環境経済研究所理事長
IPCCの「地球温暖化に関する第6次統合報告書」が2023年3月20日に公表された。
「1.5度目標「閉ざされる」、排出 35年に60%減必要」(朝日新聞2023.3.21)
「グテーレス国連事務総長は先進国に温暖化効果ガスの実質排出ゼロの目標を前倒しし、40年までに実現するよう求めた。」(朝日)と言われた。
しかし、先進国の2050年カーボンニュートラル宣言にもかかわらず、世界のCO2は、アジアを中心に増え続けることが予想される(図1)。
わが国では、産業構造審議会と中央環境審議会が共同して、2030年に向けた産業界の取り組みを毎年、フォローアップしている。
ここでは、カーボンニュートラルのための抜本的な技術革新に加えて、2030年に向けた産業・企業の取り組みが報告されている。
2022年度第1回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 地球環境小委員会 鉄鋼ワーキンググループを見てみよう。
日本政府は、「2050年カーボンニュートラル」に向けて、官民による150兆円の抜本的な技術革新に取り組もうとしている(図2)。
しかしながら、こうした技術が実現するにはまだまだ時間がかかる。企業人にとっては、自分が退職するまでに、成果をみられるかどうか分からない。
一方、「2030年46%削減」に向けては、各企業・業界は「カーボンニュートラルに向けたトランジション」として、既存の技術を改良しながら地道な努力を続けている(図3)。
企業の皆さんへ
「気候の時限爆弾は針を進めている」というグテーレス発言に、浮き足立たないで欲しい。
アジア各国は、自らの成長のために、エネルギー消費を減らないだろう。
我々は、長期的な技術革新を行うとともに、日々の地道な取り組みをやり続けるしかない。
「カーボンニュートラルは一日にしてならず」
私たち国際環境経済研究所では、これからも、各企業の現場で地道な取り組みをしている皆さんの努力を紹介して行きたいと思います。