各産業のCO2削減努力を授業する(2) 電機・電子、自動車、電力


環太平洋大学客員教授、元中日・東京新聞記者、経済広報センター常務理事・国内広報部長(産業教育で文部科学大臣賞を受賞)

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 経済広報センターが、小学生向けに実施しているGIGAテキストでどのように産業別環境教育を行っているか。前回の石油、製紙、製鉄に続く第二弾。

電機・電子製品の省エネになる使い方

 電機・電子製品については省エネのための正しい使い方を考えるテキストになっている。「テレビ」「エアコン」「冷蔵庫」「照明器具」といった電機製品の名称が左にあり、右側には「見ないときは、つけっぱなしにしない。出かけるときや、寝るときはコンセントを抜く」「ドアを開ける回数を、時間を減らす。食品を詰め込み過ぎない」「誰もいない時はこまめに消す。蛍光灯や電球をきれいに掃除する」「暖気や冷気を逃がさないために、窓、ドア、襖を閉めるようにする。設定温度を高くしすぎたり、低くしすぎたりしないようにする」とある。これを線で結ぶという設問だ。
 ところで、電機製品と電子製品の違いをご存じだろうか。このテキストの欄外には「電機製品とは、電気を別のエネルギーに変えて動く洗濯機や冷蔵庫です。電子製品とは、電子の運動を利用する製品で、情報に関わるテレビ・パソコン・スマートフォンなどです」と説明が書かれている。
 そして、次のページは「電機・電子製品の省エネ技術の努力について知ろう」で、グラフを見て「2010年までの10年間で、冷蔵庫の消費電力量が大きくへっている」「最近の冷蔵庫と比べると、同じ冷蔵庫を長い間使い続けると省エネに差が出る」といったことを読み解かせる。

クリーンエネルギーを使うクルマとクルマのリサイクル

 一方、自動車のテキストでは、自動車産業には実に多くの人が関わっていることを確認した後、クリーンエネルギーを使う車と、リサイクルを考えた自動車設計について学ぶ。
 左側に「エンジンと電気モーターなどの二つ以上の力で動く」「バッテリーに充電した電力を使って動く」「水素と酸素の化学反応を利用して動く」「メタンをおもな成分とする圧縮ガスで動く」「水素を使って動く」との説明があり、これが右側の「天然ガス自動車」「電気自動車」「水素自動車」「燃料電池自動車」「ハイブリッド自動車」のどれに当たるかを考える。大人が見ると、質問文の中に答えのヒントが書き込まれていて簡単であると思うが、子供たちには、将来の自動車を考える貴重な時間となると考えた。
 また、リサイクルを考えた自動車設計のページでは、「日本では車体の99%のリサイクル率です。どのように使われるか線でむすびましょう」とあり、クルマのタイヤ(ゴム)はセメント工場の原料・熱エネルギー、「バンパーなどのプラスチック、プラスチック素材」はバンパーなど、「エンジン・ホイールなどのアルミニウム」はエンジンなど、「ボディなどの鉄」は学校や住宅、「その他(ゴムホース)、合成繊維」は発電所などで再利用されていることを、線を結びながら確認する。

バランスがとれた発電が目標

 電力のテキストは、電気ができるまでを知ろう、電力会社の取組みを知ろうなどにページをさいたため、環境問題に関連したページは1ページのみになってしまった。
 「これからの電力について考えよう」とのタイトルのもと、質問がふたつ。第一問は「日本では、2030年までにバランスがとれた発電をすることを目標としています。発電方法の組み合わせを線でむすびましょう」とある。
 「36-38%」「20-22%」「41%」と、「火力」「原子力」「再生可能エネルギー」を線で結ぶ。
 第二問は「この中で二酸化炭素を出さない発電方法を書きましょう」。「再生可能エネルギー」と「原子力」と書いてもらう。
 若干、言葉足らずなので、先生がどのような説明を加えるかで、解釈や意味するところが変わってしまうところは懸念材料ではある。

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