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化石燃料だけではないロシア依存


国際環境経済研究所所長、常葉大学名誉教授


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(「EPレポート」より転載:2022年4月21日付)

 欧州連合(EU)諸国は、ロシアのウクライナ侵略後もロシアからの化石燃料輸入を続け、燃料代金を支払い続けている。侵略後に支払われた代金は、4月5日時点で190億ユーロ(約2.6兆円)。一次エネルギーの約2割、化石燃料の約3割をロシアに依存しているEUは、脱ロシア産エネルギーを簡単には進められない。EUの需要量におけるロシア依存度は、天然ガスの4割、石油の3割弱、石炭の2割弱になる。天然ガスについてはEU加盟国によりロシア依存度と供給源の多様化が異なることから、天然ガス禁輸に踏み切れない。

 ロシア産化石燃料依存度の高いドイツとハンガリーが、脱ロシアを一日で達成することはできないと主張。禁輸は国民生活と産業に大きな影響を与えるとして反対したと報道されているが、ロシア依存度が高いのは侵略されたウクライナも同様だ。ウクライナは石炭、石油、天然ガスの生産国だが、それぞれの輸入比率は、48%、85%、31%ある。EU27カ国のエネルギー自給率40%に対し、63%の自給率だ。化石燃料のロシア依存度はEU平均より低くなるが、それでもウクライナはロシア依存の問題を抱えている。

 ウクライナの発電量年間1420億kWhの内、53%は原子力発電が供給している。核燃料供給の62%はロシアTVELが行っており、残りは米国から供給されている。化石燃料とは異なり直ぐに在庫がなくなることはないだろうが、ロシア依存を続けることはできないので、代替供給者を見つけることを迫られることになる。多くの国が濃縮ウラン・核燃料をロシアに依存している。

 世界原子力協会によると、20年時点での世界の濃縮ウラン製造能力の43%はロシアが保有している。カザフスタンからのウラン鉱石がロシアに送られ加工されるためだ。核燃料でもロシア依存脱却を図ることが必要だ。欧州ではフランス・マクロン大統領などから原子力ルネサンスとの声が聞こえ始めた。核燃料のロシア依存脱却はルネサンスの大前提になる。



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