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中学生のためのやさしい温暖化問題(その2)

中学生・高校生に考えて欲しいこと


NPO法人国際環境経済研究所 理事長/NPO法人国際環境経済研究所 所長


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前回:中学生のためのやさしい温暖化問題(その1)

 中学生の具体的な質問には次のように回答させて戴いた。考えてもらうため、質問に正面から答えていない回答もある。中学生には理解が難しいかもしれないと思いつつ回答した。

脱炭素社会は実現できるのか。
経済発展が続く途上国では、エネルギー消費が増えます。全てのエネルギー源を非炭素にするには多大の資金が必要で、長い時間がかかります。技術開発が期待されていますが、その実現には不確実性が伴います。
脱炭素社会を実現させるためには、個人、企業は何ができるのか。
省エネ、脱炭素エネルギー(再生可能エネルギー、水素、原子力)の利用が必要になりますが、その結果、エネルギー価格は大きく上昇し、経済には悪影響を与えます。例えば、自動車の燃料代が今の2倍になったら、輸送費、宅配便の費用などが上昇し、すべての物価が上がります。私たちは生活できるでしょうか?
現在、日本、および世界の二酸化炭素排出量はどのような状況か。
スライド6スライド7をみてください。
温室効果ガスの排出を抑制し、排出された二酸化炭素を回収することで実質的にゼロを達成することが、脱炭素社会実現に向けて重要だと私は思っています。その際、どのように二酸化炭素を回収するのでしょうか。また、回収された二酸化炭素をどうするのでしょうか。
最終的には空気中から二酸化炭素を吸着する技術、あるいは人工光合成のコストを下げることが必要です。今も技術はありますが、吸収可能な量とコストに大きな課題があります。吸収した二酸化炭素は地中に埋めることになります。
脱炭素社会実現のためには、多くの人に「脱炭素社会」について知ってもらうことが必要だと思います。世界の人々に関心を持ってもらうには、個人、企業はどうすればよいとお考えでしょうか。
世界の人に考えてもらうことは、温暖化だけではありません。温暖化の問題は分かり易く、国際会議も開催されるので注目を浴びますが、世界にはそれ以外の多くの問題があり、貧困、難民、飢餓の問題も重要です。気候変動問題、脱炭素はマスメディアで頻繁に取り上げられています。他の重要な問題にどうすれば関心を持ってもらえるか考えることも重要です。

 この回答に対し、次のお返事を戴いた(個人情報については匿名にしています)。

NPO法人 国際環境研究所
所長 山本隆三様

拝啓
 日々寒さが増し、秋の訪れを感じる今日このごろ、皆様におかれましては、ますますご活躍のことと存じます。
 私は、先日質問させて頂きました、XX中学XX年X組のXXXXです。お忙しい中、お時間を割いてくださり、ありがとうございました。
 様々なご回答の中でも、私は「温度上昇が環境、社会にどのような影響を与えるのかわかっていない」、「二酸化炭素を回収したら、地中に埋める」、「地球上には温暖化の他にも、貧困、難民、飢餓の問題もあり、重要である」の3点が特に印象に残っています。今回学んだことをもとに、今後は気温上昇による影響について調べていきたいです。また、日常生活で貧困、難民、飢餓の問題にはどのようなことができるのかを考えたり、現在どのような状況なのかを調べたりして、生かしていきたいと思います。
 丁寧にご回答頂き、本当にありがとうございました。

敬具

 大変しっかりした内容で、本当に将来が楽しみな中学生と感じる。知の巨人と呼ばれた故立花隆さんの東大での講義録の中に次の言葉が出てくる「大学生は、この社会ではまだヒヨコのごとき存在です。実は、まだ世間様のことなどほとんど何も知らない存在なのだということです」。さらに、「若い時に犯す大失敗の原因で一番多いのは「思い込み」だということです」と述べている。
 中学生、あるいは高校生の間に様々な視点から社会の問題を考え「思い込み」を排除することは極めて重要だろう。グレタ・トゥーンベリさんは「あなたたちは、お金の話ばかりする」と非難するが、お金を使い競争力のあるエネルギーを供給しなければ、自給自足経済で暮らす途上国の多くの人を救うことはできない。お金を稼ぐのを止めて、エネルギー消費を大きく減らす里山の生活に耐えられる人は、ごくわずかしかいないだろう。
 中学生、高校生が幅広い視野で考えることが出来るように研究所として支援可能なことがないか、内部で話をしているところだ。中学生、高校生、あるいは中学、高校の教育に携わる方でご意見、アイデアをお持ちであれば、是非研究所のホームページのお問合せ欄からご連絡を戴ければと思う。都内の中学、高校であれば、直接研究所の研究員がお邪魔し、講義をさせて戴くことも可能と思う。



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