第5話「IAEA総会(上)」


在ウィーン国際機関日本政府代表部 公使

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 日本主催イベントは、初日9月14日の昼、総会会場内で行われたが、各国政府代表や大使、IAEA及び原子力放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)のスタッフ、ウィーン在住の日本人国際機関職員、メディア関係者など約250人が参加して大盛況となった。イベントの模様は日本のメディアでも取り上げられた。
 イベント会場では、被災地復興、食品規制対策、福島第一原発対策に関するパネル展示やDVD放映が行われた。また、いまや日本外交の強力な武器といっても過言ではない寿司に加え、日本貿易振興機構(JETRO)の協力を得て、被災地三県(福島、宮城、岩手)から輸入した7種類の和菓子、6種類の日本酒がふるまわれた。特に被災地の和菓子は大人気で、当日午後は、お土産に持ち帰った菓子袋を嬉しそうに手にした各国関係者を会場のあちこちで見かけた位である。

岡原子力委員会委員長とイベントの模様

政府代表主催イベントで挨拶する岡原子力委員会委員長(左上)とイベントの模様。
(写真出典:在ウィーン国際機関日本政府代表部及びJETROウィーン事務所)

“Japan is back, step by step.”

 今回のIAEA総会は、福島第一原発事故の当事国である日本にとって、一つの区切りとなる総会であったことは間違いない。
 もとより、福島第一原発の廃炉作業、汚染水対策などは息の長いプロセスである。新規制基準の下での原子力発電所の再稼働も同様である。東北・福島の復興も未だ道半ばであり、被災地食品の風評被害対策は各国との関係でも取り組むべき課題は多い。
 それでも、原子力大国である日本は、一つ一つ課題を克服しながら、国際場裡で主要プレーヤーとして戻ってきつつある。“Japan is back, step by step.”とのメッセージをオールジャパンで出すことができた、そんなIAEA総会だったと言えよう。

(※本文中意見に係る部分は執筆者の個人的見解である。)

【参考資料】

第59回国際原子力機関(IAEA)総会(結果)(外務省HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/n_s_ne/page3_001389.html
第59回IAEA総会日本政府代表演説(外務省HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101525.pdf
第59回IAEA総会における日本政府代表主催レセプション及び被災地復興展示会の開催(在ウィーン国際機関日本政府代表部HP)
http://www.vie-mission.emb-japan.go.jp/itpr_ja/Reception14_09_2015_JP.html
第59回IAEA総会への参加(日本原子力産業協会HP)
http://www.jaif.or.jp/59th-iaea-ga_report/

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