進む高齢化、省エネは健康志向をめざそう!


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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 そこでお勧めしたいのが、エコガラス(Low-E複層ガラス)です。Low-Eは、「Low emissivity(低放射)」の略。複層ガラスの内側に特殊な金属コーティング(Low-E膜)が施されていて、放射熱の伝わりを抑え、断熱性能を高めます。高い断熱性能に加えて、冬にできるだけ日射熱を取り入れるタイプと、夏に日射熱を適度に遮断するタイプの2タイプがあります。

出典:板硝子協会 エコガラス(Low-E複層ガラス)の断面図

出典:板硝子協会 エコガラス(Low-E複層ガラス)の断面図

 日射熱を取り入れるタイプと日射熱を適度に遮断するタイプのどちらも部屋と窓の温度差を小さくでき、結露を減らすことができます。結露はカビやダニの発生につながるため、結露を減らすことができれば、屋内の快適性が高まり、アレルギー症状の解消にもつながることが日本建築学会でも発表されています。また、太陽光には赤外線、可視光線、紫外線がありますが、エコガラスは可視光をよく通すため、屋内を明るく保つことができるメリットもあります。

 エコガラスは省エネ基準が厳しい欧州では広く普及していますが、日本の既存住宅ではアルミサッシと単板硝子やアルミ複合サッシと複層ガラスが一般的で、普及が遅れています。最近のハウスメーカーの新築戸建住宅では6割がエコガラスですが、新築の集合住宅ではエコガラスはまだ7%程度です。

 日本でも最近は急激な温度変化で体調が急変する「ヒートショック」の問題が指摘されるようになりました。冬に急増するのは、住宅内における循環器疾患起因死で、高血圧が主因です。入浴中の事故死だけでも年間1万9000人と推計されています。そうした中、断熱改修により起床時の血圧が低下したという実験結果もあり、住宅の断熱性能と健康との関連性が注目されています。

 今年4月から、「省エネ住宅ポイント」制度が再開されています。トップランナー基準などを満たす「エコ住宅の新築」と「エコリフォーム」が対象です。エコリフォームの「窓の断熱改修」では、窓の大きさ(寸法)などに応じて1枚あたり3000~2万ポイントが付与されます(工事着工・着手は2014年12月27日~2016年3月31日)。
(省エネ住宅ポイントホームページ:http://shoenejutaku-points.jp/

 こうした制度も上手く利用し、高断熱性能のガラスで室温差を緩和し、省エネを実現しながら健康的に長生きできる環境づくりを進めていけるといいですね!