女性キャスターによる中国環境汚染映像-YouTube「穹顶之下」


国際環境経済研究所理事長

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 YouTubeの「穹顶之下」というドキュメンタリーを紹介する。

 今年2月28日、中国中央電視台(国営放送CCTV)の元女性キャスター 柴静さんが「穹顶之下」(Under the Dome)という一時間強の映像を公開した。中国国内で爆発的な反響で、台湾メディアがこれをYouTubeで配信したらしい。(中国国内ではYouTubeは禁止されているが、同じようなものがある)

 内容は、PM2.5の大気汚染について、肺がん発生の増加とメカニズムをアニメーションと肺の手術で紹介、さらに汚染当事者である山西省の石炭産業、河北省の鉄鋼会社、石油会社の中国石化(シノペック)、環境不適応車を販売する自動車販売会社等に加えて、環境保護局、中国科学院、北京大学などにインタビューしている。

 アメリカのテレビ番組”TED”のように、柴静さんは、原稿も見ないでテンポよく観客に話しかけ、映像やストーリー展開は組織的な仕事に見える。中国の各都市の一年間のスモッグがマルチスクリーンで映されると、北京だけでなく中国全体の汚染が実感される。

 彼女は、1976年、山西省生まれ、長沙大学卒、CCTVで「東方時空」という番組で司会を務め有名になったが、2014年に退社した。これだけの番組を自費で制作したというが、報道の自由のない中国で放映されたことに感心する。「彼女の身柄は大丈夫?」と心配するが、習近平政権が、環境問題に本腰を入れようとしているのか、それとも、政敵である石油閥の周永康、電力閥の李鵬叩きと符合しているのかもしれない。

 残念ながら、日本語訳はないので、映像と中国語の字幕で雰囲気を感じてもらうしかないが、迫力十分だと思う。ぜひご覧下さい。

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