低炭素社会実行計画(一般社団法人 日本経済団体連合会)

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 経団連は、京都議定書採択前から自主行動計画を推進し、着実な成果を上げてきた。自主行動計画の中核を担う産業・エネルギー転換部門34業種からの2011年度のCO2排出量は、90年度比10.1%減少した。また、主要産業のエネルギー効率は世界最高水準を達成しており、さらなる削減余地は非常に縮小した。一方、家庭、業務等の部門からの排出量は90年度比で5割程度増えており、国内の温暖化対策にとって、家庭、業務に関する対策が大きな課題となっている。
 世界に目を転じると、新興国を中心にCO2排出量が急増しており、2010年度の世界全体の排出量は90年度比43%増であった。世界のCO2排出効率は日本の3分の1程度であるが、単純計算では、日本の半分程度に改善すると、世界のCO2排出量は4割程度、日本10カ国分削減される。わが国の優れた技術を基に、途上国の省エネ・低炭素化を支援することが、世界の温暖化対策にとって極めて重要である。また、国際社会が目指す排出量半減は既存技術のみでは不可能であり、ブレークスルーとなる革新的技術の開発を加速する必要がある。
 そこで、経団連では、自主行動計画の後継版として、2013年度から低炭素社会実行計画を始動させた。参加業種は、(1)国内の事業活動を通じて排出されるCO2について、2020年までの削減目標を掲げ利用可能な世界最高水準の技術の最大限導入などを図る。また、(2)製品・サービスの利用段階などでの削減に向け、世界最高水準の省エネ・低炭素型製品の開発・実用化を推進する。同時に、(3)海外においては、途上国等における意欲ある取組みを積極的に支援する。その一環として、二国間オフセットメカニズムの推進を図る。さらには、(4) 長期的観点から、ブレークスルーとなる革新的な低炭素型技術の開発に戦略的に取り組む。リスクが大きく民間だけでは困難なため、政府に対して研究開発促進税制の拡充等の政策支援を要請している。
 これら4本柱を核とする低炭素社会実行計画を既に39業種が策定しているが、経団連としては今後とも着実な拡大を図るとともに、主体的かつ積極的に温暖化対策を推進し、世界温室効果ガス排出量半減に向け、技術力で中核的役割を果たしていく方針である。

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