日本鉄鋼業、世界で最も優れたエネルギー効率を維持
小田潤一郎・秋元圭吾
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構
転炉鋼のエネルギー効率の推移
RITEはこれまで2000年時点、2005年時点の推計も行ってきた。これら時系列的なエネルギー効率の推移を、トン粗鋼当たりの一次エネルギー投入量の実数(単位:GJ/t粗鋼)で示す。
2010年時点の順位で見ると、日本に続いて韓国、ドイツ、中国の順となっている。中国のエネルギー効率改善が目立つが、これは転炉鋼生産が2000年の1億トン強から5.6億トンへ拡大する中で、最新鋭大型製鉄所が急拡大した影響が大きい。また中国の省エネ技術普及は韓国に続く世界3位のレベルであり、この影響もある。しかし、エネルギー管理というソフト面では弱く、また小規模製鉄所も併存しており、中国平均値はドイツより劣る。
米国は固定費増加を敬遠する傾向が強く、省エネ設備普及が最も進んでいない地域の一つである。ロシア、ウクライナは2005年以降、旧技術(平炉、造塊分塊)の利用を低下させエネルギー効率改善が進んだものの、2010年時点でも依然として旧技術が稼働しておりエネルギー効率で劣る。