第1回 石油連盟専務理事 松井英生氏
「石油」を分散型・自立型エネルギーとして位置づける政策を
松本 真由美
国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授
石油を“国民に選ばれ、愛されるエネルギー”にしたい
――石油需要の確保について、どういう取り組みをされていますか。
松井:古くはオイルショック、最近ではCO2の観点から、「石油はよろしくないもの」で「脱石油」の方向が続いています。特に最近では「脱化石燃料」と言い、「石油は悪者」という認識が広まりました。これを見てください。
――石油の作文コンクールですか。
松井:小学生を対象に毎年行っている作文コンクールですが、今年の最優秀作品賞は、福島市在住の小学4年生の女の子の「みんなを守ったあたたかい光」です。作文の中で、震災時に石油ストーブがあるから、ごはんやみそ汁が作れ、夜の明かりになり、ストーブでわかしたお湯で一週間ぶりに体がふけて本当に気持ちがよかったと綴っています。最後の文にある「わたしの心には、ストーブの赤い光がともっています。石油はわたしたちをまもってくれたまほうの水です。大切に大切に使っていきたいです」は、素直な気持ちから出てきた言葉だと思います。
――不安な状況から守ってくれたのは石油だったのですね。
松井:そうです。石油の存在は空気のようになってしまい、普段はありがたさを全く感じなくなっていると思います。しかし今回のように問題が起きた時、石油は非常に役に立ちます。避難所になるような公共施設で、灯油タンクや利用機器、軽油やA重油の自家発等を置いていただきたい。我々も昨年から地方自治体への広報行脚を行い、東北地方を中心に100以上の自治体をまわりました。停電時にも作動する自立型エコフィールという大型の給湯器は、東北・北海道・北陸のご家庭で使っていただきたいと思います。3日間電気が止まっても給湯ができます。
――その他、具体的な取り組みはありますか。
松井:エネルギーを家庭でお使いになるのは主として女性の方ですし、衣料品を買うのも、食料品を買うのも、旅行先を決めるのも、レストランを選ぶのも、最近では車を買うのも女性が決めている割合が高いと言われております。商品やサービスの販売は、女性の感性に訴えていくということが重要で、物を買ったことのない男が物を作っても、売れないのではないでしょうか。今後「消費者に選んでいただく石油になる」というためには、取捨選択の権限をお持ちの主婦の皆様方にご理解頂かないとダメだと思っています。そこで、主婦連の会長以下、幹部の方15~6名に集まって頂き、そこで我々から石油の利点についてご説明して参りました。主婦の方々からいろんなクレームなり、ご不満なり、あるいは「こうした方がいいよ」というご意見をいただきました。今後、定期的に意見交換していきたいと思っています。一番大事なことは、消費者に好まれるエネルギーを目指し、愛される石油業界になるべく、一生懸命やってきたいと思います。