執筆者:小川 浩

avatar

富士常葉大学社会環境学部教授

  • 2014/06/13

    人口減少社会における生活排水処理施設整備をどう進めるか

     今や人口減少・高齢化、さらには社会資本インフラの老朽化という社会情勢が、人口オーナスとして様々な分野に影響を及ぼしている。公共事業についても同様である。一般に、公共事業は実施前に費用と便益を見積もり、事業効率に基づいて評価される。便益は受益者数に比例することが多く、人口減少を将来の便益推計に盛り込むことが必要である。しかし、当初、ほとんどの事業が人口減少を考慮していなかったため、事業完成後に人口が減少し、便益の発現効果が得られず、非効率な事業へとつながりつつある。 続きを読む

  • 2011/05/13

    日本の総力をあげ総合的な水管理システムを

     21世紀は「水」の時代と言われ、10年が経過した。上水の供給や排水処理、処理施設の管理運営などの総合的水管理市場は、2025年には100兆円規模になると試算されている。その背景には、水が得られない人口が約11億人、トイレや排水処理がないか実施されていない地域の人口が約26億人も存在している。また、循環型社会を構築するうえで、水処理分野においても二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)といった温室効果ガスの発生抑制やエネルギー回収が急務となっている。

     2008年度に下水道から排出された温室効果ガスの総量はCO2換算で674万tあり、日本の総排出量の0.5%に達している1)。こうしたなかで、小規模分散型生活排水処理システムとして活用されている浄化槽は、最小規模の5人槽で、生物化学的酸素要求量(BOD)1kgあたりのCO2排出量が8.7kgとなり、西村ら2)は人口密度が1040人/km2以下の集落では、下水道による整備よりもCO2排出量が少なくなると報告している。

     これまで、わが国の生活排水処理システムにおける低炭素化対策は、処理施設がエネルギー面で完全に自立したうえで、新エネルギーの活用とエネルギー回収、物質循環を目標とし、現在では省エネ技術の導入を中心とした施策が実施されてきた。しかし今回の震災により、さらなる省エネや節電が求められており、排水処理の分野においても、一層の省エネ技術開発が直近の課題になっている。