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GAFAがつくり出すエネルギー格差


国際環境経済研究所所長、常葉大学経営学部教授


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(エネルギーフォーラム「EPレポート」からの転載:2019年9月12日付)

 米国では、知人から太陽光発電から化石燃料関連まで、さまざまなベンチャー企業への投資について意見を求められる。多くの米国人は、高リスクだが高収益の可能性もあるベンチャー企業への投資を考えるのだろう。

 一方、日本人でベンチャーへの投資を考える人はほとんどいないだろう。一度だけ、知人からスタートアップへの経営参加を打診されたことがあるが、ベンチャーへの投資を相談されたことは皆無だ。日米の投資に対する考え方の差が、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と呼ばれる企業が米国からしか出てこない理由の一つだろう。

 米国ではGAFAをはじめとする新興企業の多くが、自社が必要とする電力を再エネで賄う方針を出している。米国風力発電協会などによると2018年、フェイスブックが220万kWの発電設備を対象に24社と買電契約、グーグルが210万kWで15社、アマゾンが110万kWで14社、アップルが80万kWで7社と、GAFA4社が米国企業の再エネの買電契約市場をリードし約4割のシェアを占めている。

 温暖化対策として再エネ推進は良いことに思えるが、州立ポートランド大学の先生が175カ国を調査し、最近発表した論文によると負の側面を良く考える必要があるようだ。

 先進国で再エネ導入により温室効果ガスの排出量は削減されるが、支援策が電気料金を上昇させる。裕福な家庭は太陽光パネルや高効率設備を導入し電気料金の上昇を避けることが可能だが、貧困層は負担だけ強いられ、結果、格差を拡大する。

 エネルギーは人権とは関係ないと考えるのが普通だが、エネルギー消費の多くを占める冷暖房、冷蔵は生活必需品だ。最貧国では再エネ導入は農業中心の地域を電化し、貧困の緩和につながるが、化石燃料の代替にはならずCO2排出とは無関係だ。結局、先進国では温暖化問題の前に、エネルギー貧困をつくり出さず、格差を拡大しない政策を考える必要がある。GAFAは再エネがつくり出す負の側面を理解しているのだろうか。



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