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日本発のISO規格“鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法”発行される

(1)ISO初の生産プロセスCO2排出強度算定手法


国際環境経済研究所主席研究員


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 本規格では、購入電力にもこの間接排出の考え方が適用されている。良く知られているようにEU-ETSに用いられている手法では、直接排出しか計上されておらず、電力にはC(炭素)が含まれていないことから、外部からの購入電力をどれだけ使おうともCO2排出はゼロとして算定される。当規格では日本と同じように、電力を外部から購入した際には、発電の時に発生したCO2を排出に計上する、間接排出の考え方を適用している。その上で、CO2への換算係数に世界平均の値を使うことにより、製鉄所の立地に拘わらず、国・地域での電源構成による電力のCO2排出係数の差が計算結果に影響を及ぼさないようにしている。 

 製鉄所では、鉄鋼生産に伴い、メタン、水素等を含み、燃料ガスとして活用することができる副生ガスが発生し、回収されて製鉄所内の各種加熱に広く用いられるとともに、余剰は発電に活用される。一例では、製鉄所への投入エネルギーの2割程度が副生ガスによる発電に使われており、製鉄所効率にとって重要な要素であるが、製鉄所により、発電設備が所内にある場合と、隣接する発電所に副生ガスが送られる場合がある。前者では電力が、後者では副生ガスが製鉄所から外部へ出て行くことになるが、両者で製鉄所の効率評価は変わるべきではないとの考え方に基づいて、それぞれの副生ガスのCO2係数を定めることによって、製鉄所の構成の違いを補正している。

 ISO 14404は、これら3つの間接排出の考え方を適用し、CO2への変換に世界共通の換算係数を使うことで、製鉄所が世界のどの国・地域にあろうとも、また、設備構成に差があろうとも、その実力を、出来るだけ世界共通の尺度で、簡潔に評価する手法を、初めてISO規格で採用した。また、製鉄所全体を計算対象とすることで、材料、電力等の購買、売却という、もっとも基本的でまぎれのないデータをインプット・アウトプットの把握に使うことが出来、製鉄所内の詳細なデータ採取ができなくとも可能な算定方法としている。鉄鋼産業のCO2排出強度は高く、すべての鉄鋼生産者にとって、省エネルギーとCO2排出削減の取り組みは不可欠である。そのため、当規格の適用により、鉄鋼業は自らの位置を世界中の鉄鋼生産者と容易に比較し、より効果的にCO2排出削減の手がかりを見つけることができる。これこそが、当規格化の狙いである。 

 また、地球温暖化に対するCOP交渉において、次期枠組みについては先進国対途上国という先の見えにくい議論が続いている一方で、MRV(測定、報告、検証)については、カンクン合意に基づく議論が進んでいる。産業レベルでのMRVもいずれ議論の対象となろうが、ともすれば、COP関連の交渉は産業の実情をよく理解しないまま議論が進みがちである。今後のMRVの議論において産業の効率指標は極めて重要であり、ISO 14404の特徴からわかるように、産業の実態を良く理解した上での目的にあった指標の設定が鍵となる。今回のISO規格化は、その指標の設定において、産業界の関与が不可欠である事を示す好例と言えよう。

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