2011年6月のアーカイブ

  • 2011/06/13

    正しい節電で、楽しく気楽に生活する

     東京電力や東北電力管内では7月から、夏期の使用最大電力の15%削減が始まるが、これに向けて、企業でも家庭でも、さまざまな取り組みが始まっている。廊下やエレベータホールの消灯はもちろん、工場の操業の見直し、さらには西日本への生産移管やデータセンターの移設などである。 続きを読む

  • 2011/06/06

    再生可能エネルギーの本格導入を阻む3つの壁

     福島第一原子力発電所の事故以来、原発に替わるエネルギーとして、風力、太陽光を中心とした再生可能エネルギーが注目を浴びている。菅直人首相は、フランスドービルで開催されたG8サミット(主要先進国首脳会議)での演説で、「太陽光発電を1000万戸に設置する」と表明した。

     再生可能エネルギーの普及を図るための政策は、震災以前にも導入されていた。太陽光発電設備の導入により生じた余剰電力を電力会社に販売できる制度は、2009年度から導入されている。電力会社は買い取り費用を電気料金に上乗せし、需要家から回収する。

     今年度の買い取り価格は、1kW時当たり42円に設定されている。東京電力の民生用、産業用の電力の平均販売価格は、1kW時当たり16円程度。つまり、太陽光発電が増えれば増えるほど、電力料金への上乗せ額、すなわち需要家の負担額は大きくなるわけである。

     G8サミットに先立ち、菅首相は、太陽光発電設備の大量導入に合わせ、太陽光発電のコストを2020年に現在の3分の1に引き下げる目標も発表した。設備費用のなかには工事費がかなりの部分を占めており、コストを3分の1に引き下げるのは簡単ではない。しかし、もしコストダウンが実現しても、それまでに導入された太陽光発電の買い取り価格は、その後10年間にわたり消費者が負担することになるため、太陽光発電の普及が大きく進めば、電気代の大きな値上げは避けられないのである。

     日本に先立ち、再生可能エネルギー由来の電力の固定価格買い取り制度を導入した欧州主要国では、相次いで買い取り価格の引き下げが行われている。長期にわたり固定価格で買い取るため、累積の買い取り額が巨額になったためである。導入が進めば進むほど、消費者の負担が級数的に増えていくことになる。

     しかも、再生可能エネルギー導入に伴う問題は、消費者が支払う電力料金への価格転嫁だけではない。バックアップの発電設備が求められることや送電能力の面でも大きな課題がある。

     バックアップ電源が必要な理由を図に示す。日照がない時間はほとんど発電ができない太陽光や、凪(一時的に風のない状態)には発電できない風力発電に対し、電力需要は発電側の事情とは関係なく生じる。したがって、再生可能エネルギーによる発電ができない時間に備え、電力需要と再生可能エネルギーによる電力供給の差を埋めるために、常に、発電が可能な電源を用意していなければ停電が発生する。

    太陽光や風力への依存では、電力需要とのギャップが大きくなる
  • 2011/06/02

    クルマはどこまでエコになるか?

     今回は、運輸部門のなかで、特に個人利用の自動車(乗用車)に焦点を絞って、車両技術の向上による二酸化炭素(CO2)削減と技術以外での削減の可能性について議論したい。

     自動車の多くは、駆動源として内燃機関であるガソリンエンジンを利用している。エンジンは、下の図に示すように主として熱による損失のため効率が低く、一般に、燃料であるガソリンが持っているエネルギーの20%程度しか駆動軸に伝達されない。失われている熱をうまく再利用できれば、効率が飛躍的に改善されるため、研究レベルではいくつかの技術が試みられているが、いまだ実用化には至っていない。

     また、図からわかるように、アイドリングによるロスもかなりの量にのぼる。このため、信号などでの停止時のアイドリングストップは大きな効率向上につながる。これは実際にハイブリッド車でも取り入れられており、ハイブリッド化による効率向上のうち、3分の1近い寄与になっている。

     一方、駆動軸に伝達されたエネルギーは、さらに、トランスミッションなどの伝達系で失われる。タイヤに伝達されるのは駆動軸に伝えられたエネルギーの60~70%程度だ。そのエネルギーによって車はスタートし加速されるが、停止時にはブレーキによって運動エネルギーが失われて止まる。この量は駆動軸に伝えられた量から見ると3分の1程度になる。ハイブリッド車は、この停止時に失われるエネルギーを電気に変換して回収し、効率向上に利用している。

     つまり、自動車の効率は、まず駆動源の効率に大きく左右され、次にトランスミッションなどの伝達系の効率、さらに車両の形を通して空気抵抗やタイヤの摩擦抵抗に影響される。ガソリンエンジンそのものの効率化はメーカーが最大の努力を図ってきた部分であり、着実に成果を出してきた。残された改善余地は大きくないが、今後も効率化は進むと予想される。飛躍的な改善は、今、話題の電気自動車や燃料電池車への移行が考えられるが、車両価格やインフラ整備など大量普及への課題は大きく、短中期的な対策にはならない。

    自動車の効率は、エンジンやアイドリングなどのロスによりそれほど高くない